ジェイテクト株式会社は、ベアリング、ステアリングシステム、工作機械を主力製品とするグローバルメーカーです。
トヨタグループの主要サプライヤーであり、自動車部品、産業機械部品市場で高いシェアを誇ります。世界各国に拠点を持ち、本社は愛知県刈谷市に位置します。
この記事の執筆者(本田)
自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。
この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。
昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。
ジェイテクトの主な製品
製品カテゴリ | 具体的製品 |
---|---|
自動車部品 | 電動パワーステアリング(EPS)、ハイブリッドステアリング、ベアリング |
産業機械部品 | 工作機械(研削盤、マシニングセンター)、軸受 |
エネルギー関連製品 | 風力発電用大型ベアリング |
ジェイテクトの主な納入先
納入先企業 | 主な用途 |
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トヨタ自動車 | ステアリングシステム、ベアリング |
ホンダ、日産、マツダ | パワーステアリングシステム |
産業機械メーカー | 工作機械、産業用ベアリング |
風力発電企業 | 大型ベアリング |
ジェイテクトの決算分析(倒産リスク)
ジェイテクトの2024年3月期の決算状況は以下の通りです。
指標 | 数値 |
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売上高 | 約1兆4,000億円(前年比+5.0%) |
営業利益 | 約720億円(前年比+6.3%) |
自己資本比率 | 約50% |
現金及び預金残高 | 約1,500億円 |
倒産リスクについて
売上・利益ともに堅調で、自己資本比率も50%台を維持しています。財務内容は安定しており、短期的な倒産リスクは極めて低いといえます。ただし、トヨタグループ依存度が高いため、中長期的にはリスク分散戦略が求められます。
ジェイテクトの給与水準
項目 | 金額 |
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平均年収 | 約740万円(2024年時点) |
初任給(学部卒) | 22.8万円 |
初任給(院卒) | 24.8万円 |
トヨタグループ企業らしく、給与水準は比較的高めです。特に技術職・研究職では待遇が良く、福利厚生も充実しています。
ジェイテクトの将来性(EV時代に向けて)
EV化によるモビリティ革命に対応するため、ジェイテクトは事業構造の転換を進めています。
EV時代に向けた主な取り組み
- EV向け電動パワーステアリング(EPS)の高性能化・小型化
- バッテリー冷却用ポンプや熱制御システム部品開発
- 産業用ロボット向けベアリング需要拡大
- 風力発電向け大型ベアリング事業の強化
特に電動パワーステアリング分野では世界トップクラスのシェアを持ち、EV車両の普及に伴い今後も成長が期待されます。
トランプ関税の影響
ジェイテクトは北米市場向け製品の供給比率が高いため、トランプ政権時代の関税政策の影響を受けました。
影響と対応策
- 北米市場向け部品コストの上昇
- メキシコ・米国拠点での生産比率増加によるリスク回避
- 現地調達化による為替リスク・関税リスク軽減
トヨタ向け供給網の一環として、北米での現地生産体制を強化したことで、大きな打撃は回避できました。
ジェイテクトに関する口コミ・評判
社員口コミ
- 「トヨタグループらしい堅実な経営と安定感」
- 「技術開発には積極的で、チャレンジできる環境がある」
- 「福利厚生や労働環境が整っている」
- 「部署によっては保守的な文化が残る」
取引先口コミ
- 「製品品質が非常に高く、安定している」
- 「納期遵守率が高く、信頼できるサプライヤー」
- 「新技術開発への柔軟性が高い」
まとめ
ジェイテクトは、自動車部品、産業機械部品分野で世界的に競争力を持つ企業です。安定した財務基盤とEV時代への柔軟な対応力を兼ね備えており、将来的な成長にも期待が持てます。短期的なリスクは小さく、引き続き注目すべき企業のひとつです。