中央発條株式会社は、自動車用バネ(サスペンションスプリング、スタビライザーバーなど)を中心に製造する、トヨタグループに属するサプライヤーです。
愛知県名古屋市に本社を置き、国内外の自動車メーカー向けに高品質なばね製品を供給しています。
この記事の執筆者(本田)
自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。
この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。
昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。
中央発條の主な製品
製品カテゴリ | 具体的製品 |
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サスペンション用コイルスプリング | 乗用車・商用車向けサスペンション部品 |
スタビライザーバー | 走行安定性向上用バー部品 |
シート用スプリング | 自動車座席の骨組み用バネ |
産業機器用スプリング | 建機・農機・産業車両向け部品 |
中央発條の主な納入先
納入先企業 | 主な用途 |
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トヨタ自動車 | 乗用車・SUV向けサスペンションスプリング |
日野自動車 | トラック・バス用大型バネ |
SUBARU | SUV用サスペンション部品 |
中央発條の決算分析(倒産リスク)
中央発條の2024年3月期の決算状況は以下の通りです。
指標 | 数値 |
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売上高 | 約1,100億円(前年比+3.8%) |
営業利益 | 約40億円(前年比+2.5%) |
自己資本比率 | 約62% |
現金及び預金残高 | 約150億円 |
倒産リスクについて
自己資本比率が60%を超え、現金も安定的に確保されており、短期的な倒産リスクは極めて低いと考えられます。ただし、トヨタグループへの依存度が高く、市場構造の変化(EVシフトなど)には慎重な対応が求められます。
中央発條の給与水準
項目 | 金額 |
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平均年収 | 約630万円(2024年時点) |
初任給(学部卒) | 22.5万円 |
初任給(院卒) | 24.3万円 |
愛知県内の製造業としては標準的〜やや高めの水準で、賞与も年2回支給されます。福利厚生もトヨタグループ基準に近く、安心感があります。
中央発條の将来性(EV時代に向けて)
EV化の進展により自動車の車体構造が軽量化・低床化される中、中央発條も新たな製品開発に取り組んでいます。
EV時代に向けた主な取り組み
- 軽量・高剛性サスペンションスプリングの開発
- 新素材(高強度鋼材、複合材料)を用いたスタビライザー
- EV専用車両向け低振動・高快適性スプリング設計
今後は「車体軽量化ニーズ」と「走行性能向上ニーズ」の双方に応える部品開発が重要なテーマとなります。
トランプ関税の影響
中央発條は輸出比率がそれほど高くないものの、米国市場向けに間接供給しているため、トランプ関税下で一定の影響がありました。
影響と対応策
- 原材料(鋼材)価格の上昇によるコスト圧迫
- 一部北米現地生産化によるリスク分散
- 為替リスク管理体制の強化
全体として影響は限定的ですが、今後の地政学リスクにも備える必要があります。
中央発條に関する口コミ・評判
社員口コミ
- 「安定感があり、腰を据えて働ける環境」
- 「現場主義が強く、ものづくりに誇りを持てる」
- 「昇進スピードはやや年功序列だが、評価も一定にされる」
- 「トヨタグループ基準に合わせた厳しさも感じる」
取引先口コミ
- 「品質要求レベルが高く、製品精度が安定している」
- 「納期厳守意識が徹底されている」
- 「コスト競争力向上には引き続き努力が必要」
まとめ
中央発條は、トヨタグループを支える自動車ばね専門メーカーとして堅実な地位を築いています。EVシフトにも対応しつつ、軽量・高性能部品開発に注力することで、将来も安定した成長が期待されます。財務基盤も健全であり、短期的なリスクは非常に小さい企業です。