自動車部品メーカー「ユニプレス」は、日産系の重要なティア1サプライヤーとして長年業界を支えてきました。
しかし、近年の業績悪化やEVシフトへの対応の遅れなどから、「倒産の危機」という不穏なキーワードがささやかれるようになっています。
本記事では、ユニプレスの会社概要をはじめ、経営状況、将来性、そして現場からの声を交えて、今まさに転換点を迎えているこの企業の実情を掘り下げていきます。
この記事の執筆者(本田)
自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。
この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。
昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。
- ユニプレスの最新情報
- 🧭 中期経営方針および株主関連
- 🏭 事業構造改革・海外展開
- ユニプレス 会社概要
- 「ユニプレスがやばい」と言われる理由とは?
- ユニプレスの決算分析と倒産リスク
- 給与水準と初任給
- EV時代における将来性
- トランプ関税の影響
- 👍 良い口コミ
- 👎 悪い口コミ
- まとめ
ユニプレスの最新情報
2024年度通期決算の報告(5月27日)
2025年3月期の連結決算では、売上高が前年より減少したものの、経常利益は8.8%増の136億円に達し、IFISのコンセンサスを上回るポジティブな結果でした。
2025年3月期 第3四半期決算と通期予想の差異(5月13日)
第3四半期の決算発表とともに、通期業績予想とのズレも報告されています。なお、同日に特別損失と自己株式の取得状況も公表されました 。
今後の見通し:2026年3月期は大幅減益見込み
次期(2026年3月期)は売上高の回復が難しく、経常利益は41%減の80億円程度になると予想されています 。
🧭 中期経営方針および株主関連
中期経営方針の策定(5月16日)
中期経営方針が公表され、今後の収益性改善や経営体制強化に向けた施策が打ち出されています 。
剰余金の配当および別途積立金取り崩し(5月16日)
安定的な株主還元を目的として、配当および積立金取り崩しについてのお知らせが同日に発表されています 。
第86回定時株主総会の招集通知(5月29日)
株主総会開催の詳細案内が正式に出されました 。
🏭 事業構造改革・海外展開
中国事業の事業再編(業績に大きく影響)
中国拠点での再構築により、2025年3月期には再編損失として216億円を計上。しかし、2027年までに構造改革が進めば、年間45億円程度の営業利益増が見込まれています 。
英国サンダーランド工場の視察訪問(5月22日)
副社長の山本氏が英国・サンダーランド工場を訪問。新車モデルに向けた生産準備の進捗を確認し、最新設備や組織体制について報告を受けました 。
ユニプレス 会社概要
項目 | 内容 |
---|---|
社名 | ユニプレス株式会社 |
設立 | 1945年3月1日 |
本社所在地 | 神奈川県横浜市港北区新横浜1-19-20 |
資本金 | 101億6,895万7,400円(2024年3月31日現在) |
売上高(連結) | 3,350億円(2024年3月期) |
従業員数 | 連結:7,984人(2024年3月31日現在) |
上場市場 | 東京証券取引所 プライム市場(証券コード:5949) |
主な製品
- 車体プレス部品(フロントサイドメンバー、センターピラーインナーなど)
- トランスミッション用プレス部品
- 樹脂プレス部品
- 溶接機器・金型・治工具の製作・販売
主要納入先
- 日産自動車株式会社
- アイシンAW株式会社
- 本田技研工業株式会社
- スズキ株式会社
- SUBARU株式会社
「ユニプレスがやばい」と言われる理由とは?
インターネット上やSNSで「ユニプレスがやばい」との噂が広まる背景には、近年の業績悪化と自動車業界の構造変化が深く関係しています。
特に以下の要因が重なり、倒産リスクや将来性に対する不安感が高まっているのが現状です。
- 連続赤字と収益性の低下:北米・中国市場での不採算事業が足を引っ張り、営業利益率が著しく低下。
- EVシフトへの遅れ:電動化対応が遅れたことで、主要顧客からの受注が減少する懸念。
- 工場閉鎖や人員削減の報道:構造改革の一環として実施されるこれらの動きが、「経営不安」というイメージを加速。
- 日産頼みの事業構造:主力顧客である日産の業績や戦略変更に大きく依存している点もリスク要因。
こうした背景から、現場社員や業界関係者の間でも「先行きが不透明」「このままでは危ない」といった声が上がっています。
ただし、ユニプレス側も財務体質の改善や高付加価値製品への転換など対策を講じており、企業として再建の可能性も十分にあります。
ユニプレスの決算分析と倒産リスク
ユニプレスは、2025年3月期の通期連結業績予想を下方修正し、当期純損益が200億円の赤字に陥る見通しを発表しました。
これは、中国子会社および一部のアメリカ子会社における事業再構築に伴う最大約210億円の特別損失を計上する可能性があるためです。
年度 | 売上高 | 営業利益 | 当期純利益 |
---|---|---|---|
2023年3月期 | 3,350億円 | 109億円 | 52億円 |
2025年3月期(予想) | 3,200億円 | 75億円 | -200億円 |
このような状況から、財務体質の強化と収益構造の改善が急務となっています。
財務体質の強化:固定費削減と資産圧縮
ユニプレスは、過剰な設備投資の見直しと遊休資産の売却を通じて、財務の健全化を図っています。特に、国内外の工場再編を進めることで、減価償却費などの固定費を抑制し、キャッシュフローの改善に取り組んでいます。また、グループ内の間接部門の統合や、調達コストの見直しも実施しています。
収益構造の改善:高付加価値製品へのシフト
従来の汎用プレス製品からの脱却を図るべく、EV向け軽量部品や次世代プラットフォームへの対応を進めています。特にホットスタンピング工法の活用や、構造一体型部品の開発によって、受注単価の高い製品構成に転換中です。これにより、薄利多売から脱し、利益率の高いビジネスモデルを目指しています。
北米・中国市場での不採算改善
赤字が続いていた北米工場については、生産ラインの再構築や現地法人の統廃合を実施。さらに中国市場でも現地調達比率を引き上げることで、原価低減と収益改善を進めています。地域別収益の平準化を通じて、グローバルな経営安定化を目指しています。
デジタル化・自動化による効率化
生産工程におけるIoT導入や、AIによる設備稼働管理を通じて、生産効率と品質の向上を図っています。また、間接部門においても業務のデジタル化を推進し、人員配置の最適化とコスト圧縮に貢献しています。
給与水準と初任給
学歴 | 初任給(月給) |
---|---|
修士了 | 260,000円 |
学部卒 | 240,000円 |
平均年収は職種によって異なり、技術職で約550万円、事務職で約504万円、営業職で約505万円となっています。
EV時代における将来性
ユニプレスは、EV化の進展に伴い、車体の軽量化が求められる中で、高張力鋼板(ハイテン材)を用いたプレス技術を強みとしています。
特に、日産リーフのバッテリーケースの独占生産実績があり、今後のEVモデルへの採用拡大が期待されています。
トランプ関税の影響
2025年に再導入されたトランプ政権の関税政策は、ユニプレスの米国子会社にも影響を及ぼしています。追加関税により、価格競争力の低下や販売減少が懸念されており、今後の戦略見直しが求められています。
👍 良い口コミ
ワークライフバランスが良い
「ワークライフバランスは非常に取れている会社」「有休もめちゃくちゃ取りやすく、年に2回は5–6連休」「GW・夏季・年末年始は毎年9〜10連休」などの声が多数あります。
福利厚生と制度の整備
産休・育休の取得・復帰環境が整っており、女性社員も長く働きやすい職場との評価です 。
工場に社員食堂があり、工場立地も良好。福利厚生が充実しているとの声もあります 。
若手への仕事チャンスと教育支援
若手でも責任ある仕事を任されるケースが多く、資格取得も会社負担で支援してもらいやすいとの声があります 。
社風・人間関係
「優しい先輩が多く、丁寧に教えてくれる」「根は優しい人が多い」という投稿があり、社内の雰囲気には温かさがあるようです 。
👎 悪い口コミ
業務の単調さ・やりがいの乏しさ
「仕事は面白くない」「部署によって仕事内容とのギャップがある」といった声が見られます 。
給与水準・評価制度に関する不満
基本給が安く、評価制度が不透明で「上司に気に入られるかどうかで評価が左右される」いう不公平感が語られています 。
残業・長時間労働の実態
技術職では残業が多く、月60〜80時間に達するケースも。サービス残業の指示がある、また残業時間の申請に制限があるという問題も報告されています 。
事務部門の無意味な業務、管理職の形骸化
「問い合わせ・申請・人事・総務・情報システム部署が意味のない仕事をしている」「名ばかり管理職が多く、リーダーシップが感じられない」といった声もあり、組織の課題として指摘されています 。
まとめ
ユニプレス株式会社は、車体プレス部品の製造において高い技術力を持つ企業ですが、現在は業績の悪化やEV化への対応、関税政策の影響など、多くの課題に直面しています。これらの課題を乗り越えるためには、財務体質の改善とともに、EV市場への対応力強化が求められます。