自動車業界がやばい

部品メーカー×倒産の可能性

イビデンとは?ICパッケージ基板とセラミックスで業界をけん引する実力企業

イビデン株式会社(Ibiden Co., Ltd.)は、岐阜県大垣市に本社を置く、日本を代表する電子部品・セラミックス製品メーカーです。特に「プリント配線板(PCB)」や「排ガス浄化用セラミックス」などの高機能製品で国内外の大手メーカーと取引があり、自動車業界と電子機器業界の両方に強い基盤を持つハイブリッド型の企業といえます。

この記事の執筆者(本田)

自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。

この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。

昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。

会社概要

主な製品

  • プリント配線板(スマートフォン・データセンター用)
  • ICパッケージ基板
  • 排ガス浄化用セラミックス(DPF、触媒キャリア)
  • 高機能セラミック製品(電子部品・耐熱部材など)

主な納入先

  • インテル(ICパッケージ基板)
  • トヨタ自動車、ホンダ(日産等 各社向けDPF)
  • Apple・Huawei(スマホ基板用として)
  • 台湾・韓国の半導体メーカー

競合との比較

企業名 主力製品 売上規模 強み
イビデン ICパッケージ基板、DPF 約3,500億円 車載と半導体の二本柱
CMK プリント配線板 約1,500億円 自動車用配線板に強み
京セラ 多層基板、セラミック部品 約2兆円 圧倒的な総合力
新光電気工業 ICパッケージ基板 約4,000億円 インテルとの関係が深い

イビデンは、インテル向けのICパッケージ基板で圧倒的な存在感を誇りながらも、自動車分野にも強く、複数の事業柱を持っている点が競合に対する優位性といえます。

決算分析と倒産可能性

直近の財務データ(2024年3月期)

売上高 3,480億円
営業利益 320億円
経常利益 310億円
当期純利益 210億円
自己資本比率 65%

倒産の可能性

自己資本比率が60%を超えており、財務の健全性は非常に高い水準です。インテルやトヨタといった強力な顧客基盤を持ち、グローバル展開も着実に進んでいます。よって、現時点で倒産のリスクは極めて低く、むしろ安定企業と評価されます。

給与水準

初任給(2025年度)

学部卒 月給23万円
修士卒 月給25万円

平均年収(2024年時点)

平均年収 約660万円

製造業界の中では標準的~やや高め。賞与は年2回、福利厚生や社宅制度も整っており、生活支援制度の充実度も評価されています。

将来性(EVシフトへの対応)

  • 内燃機関車からEVへの移行により、排ガス浄化セラミック(DPF)需要は縮小傾向。
  • 一方で、ICパッケージ基板や高密度プリント配線板はデータセンターやAI分野でも拡大中。
  • イビデンは脱炭素・再生可能エネルギー事業へも一部投資を拡大。

EV車時代においては、電子部品関連分野への事業シフトと高機能材料の拡充が成長戦略のカギです。セラミックス依存からの脱却が一層進むでしょう。

トランプ関税の影響

米中貿易摩擦時には電子部品の価格上昇圧力や輸出制限リスクがありましたが、イビデンは製造拠点の分散やインテル等への納入で影響を抑えました。トランプ関税そのものの影響は限定的とされ、通商政策の変化への対応力も比較的高いと評価されています。

口コミ

社員・元社員の声

  • 「真面目で保守的な社風。技術力は高い」
  • 「出世には時間がかかるが安定志向には向いている」
  • 「海外出張や転勤の機会も多く、グローバル展開に関われる」
  • 「部署により残業差が大きいが、制度は整っている」

取引先・業界関係者の評価

  • 「品質・納期ともに安定感がある」
  • 「やや保守的な対応も多いが、信頼性は非常に高い」

まとめ

イビデンは、車載部品と電子部品の2大市場に強みを持ち、財務も安定した堅実経営の企業です。今後のEVシフトにより、セラミックス分野の縮小は懸念されるものの、ICパッケージ基板などの電子材料で十分に補えるポテンシャルがあります。競合との比較でも複数分野での強みを持ち、将来性は依然として高いといえるでしょう。

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