日立Astemo(アステモ)は、日立製作所、ケーヒン、ショーワ、日信工業が統合して2021年に設立された自動車部品メーカーです。社名は「Advanced Sustainable Technologies for Mobility」の略称で、CASE(Connected, Autonomous, Shared, Electric)領域における先進技術の提供を目指しています。
この記事の執筆者(本田)
自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。
この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。
昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。
主要製品と納入先
製品カテゴリ | 主な内容 | 納入先例 |
---|---|---|
パワートレインシステム | 電動モーター、インバーター、エンジン制御システム | マツダ、ホンダ、日産 |
シャシーシステム | サスペンション、ステアリング、ブレーキ | トヨタ、スバル、フォード |
自動運転・ADAS | レーダー、カメラ、制御ソフトウェア | 欧米・アジアのOEM各社 |
二輪車向け製品 | 電動パワートレイン、ブレーキ、サスペンション | ホンダ、ヤマハ、KTM |
決算分析と倒産リスク
日立Astemoは非上場企業ですが、親会社である日立製作所の決算資料から業績の一部を把握できます。2024年3月期の連結売上高は9兆7,833億円で、前年比1%の増加となりました。Astemoはその中核事業の一つとして位置付けられています。
財務状況の概要
項目 | 数値 | 備考 |
---|---|---|
資本金 | 1,291億円 | 2025年4月時点 |
倒産確率 | 10.0% | 業界平均より低い水準 |
倒産リスクは低く、安定した経営基盤を有しています。
給与水準と初任給
日立Astemoの給与水準は、職種や地域によって異なりますが、以下は一般的な目安です。
職種別年収(推定)
職種 | 年収(円) | 備考 |
---|---|---|
生産技術職 | 約500万~700万円 | 経験5年程度 |
設計開発職 | 約600万~800万円 | 経験5年程度 |
管理職 | 約800万~1,200万円 | 部門長クラス |
初任給(新卒)
- 大卒:月給約22万円
- 高専卒:月給約19万円
福利厚生も充実しており、住宅手当や育児支援制度などが整備されています。
EVシフトと将来性
日立Astemoは、電動化や自動運転技術の分野で積極的な投資を行っています。特に、電動パワートレインや先進運転支援システム(ADAS)の開発に注力しており、EV市場の拡大に伴い需要が高まっています。
主な取り組み
- 電動パワートレインの開発・供給
- ADAS技術の高度化
- ソフトウェア定義車両(SDV)への対応
これらの取り組みにより、将来的な成長が期待されています。
トランプ関税の影響
2025年のトランプ政権による関税政策は、自動車業界全体に影響を及ぼしています。日立Astemoも例外ではなく、特に北米市場向けの製品においてコスト増加の懸念があります。
影響の概要
- 部品の輸出入コストの増加
- サプライチェーンの再構築の必要性
- 価格競争力の低下リスク
これらの課題に対応するため、現地生産の強化や調達先の多様化が求められています。
社員の口コミと評判
日立Astemoで働く社員の口コミを以下にまとめます。
ポジティブな意見
- 「職場環境が整っており、働きやすい」
- 「先進技術に携われる機会が多い」
- 「福利厚生が充実している」
ネガティブな意見
- 「部署間の連携が課題」
- 「昇進のスピードが遅いと感じる」
全体的には、技術力や職場環境に対する評価が高い一方で、組織運営に関する改善点も指摘されています。
まとめ
日立Astemoは、電動化や自動運転といった次世代モビリティ分野での成長が期待される企業です。安定した財務基盤と技術力を背景に、今後の展開に注目が集まります。