株式会社ヨロズは、自動車の骨格を支えるサスペンション部品などを主力とする自動車部品メーカーです。日産自動車を中心に、トヨタ、ホンダ、GMなど国内外の主要完成車メーカーと取引を持ち、グローバルに展開しています。軽量化や高剛性化など、車両の性能や環境性能に直結する部品を手がけており、業界内では重要なポジションを占めています。
本記事では、そんなヨロズの会社概要から、近年の業績悪化の背景、EVシフトによる将来性への影響、給与水準や口コミまで、幅広い観点から分析します。自動車業界や就職・投資先として関心のある方にとって、有益な内容となっています。
この記事の執筆者(本田)
自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。
この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。
昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。
株式会社ヨロズの企業分析
会社概要
項目 | 内容 |
---|---|
会社名 | 株式会社ヨロズ(Yorozu Corporation) |
設立 | 1948年4月1日 |
本社所在地 | 神奈川県横浜市港北区樽町3-7-60 |
資本金 | 62億円 |
従業員数(連結) | 5,700名(2024年3月末時点) |
売上高(連結) | 1,814億6,800万円(2024年3月期) |
主な事業内容 | 自動車部品、農業機械部品、生産設備の開発・設計・製造・販売 |
主要取引先 | 日産自動車、ゼネラルモーターズ、本田技研工業、マツダ、スズキ、いすゞ自動車、トヨタ自動車、ダイハツ工業、三菱自動車工業、フォルクスワーゲン |
決算分析
2025年3月期の連結業績予想では、売上高を1,800億円から1,770億円へ下方修正し、営業損益を45億円の黒字から12億円の赤字、最終損益を10億5,000万円の黒字から170億円の赤字へと大幅に下方修正しました。主要マーケットでの生産の大幅な落ち込み、エネルギー価格や人件費の上昇、一過性の品質対策費用の発生、生産ロスの影響、固定資産の減損損失計上などが要因です。[出典]
株式会社ヨロズの倒産リスク評価
倒産確率と業界比較
株式会社ヨロズ(証券コード:7294)の倒産確率は、以下の通りです:
- 1年以内:0.15%
- 3年以内:0.45%
- 5年以内:0.75%
- 10年以内:1.50%
これは、上場企業全体の平均倒産確率0.10%をやや上回る水準であり、業界内では「要監視」とされています。
財務状況と業績動向
2025年3月期第3四半期(2024年4月~12月)の連結決算では、売上高が前年同期比4.4%増の1,348.19億円となりましたが、営業利益は84.0%減の1.62億円に減少し、最終損益は53.89億円の赤字となりました。通期予想では、当期純損失170億円を見込んでいます。
また、自己資本比率は前期末の46.4%から41.3%に低下し、長期借入金が88.4億円増加するなど、財務体質の悪化が懸念されています。
事業リスクと市場環境
ヨロズは自動車部品メーカーとして、日産自動車を主要取引先としています。近年は、米国での一過性の品質費用や生産台数の減少、固定資産の減損損失などが業績に影響を与えています。
また、社員の定着率の低さや人手不足による業績悪化を懸念する声もあり、内部体制の強化が求められています。
総合評価
ヨロズの倒産リスクは「要監視」とされており、財務指標や業績動向に注意が必要です。今後の市場環境や内部体制の改善が、リスク軽減の鍵となるでしょう。
給与水準
学歴 | 初任給(月給) |
---|---|
修士了 | 245,500円 |
大学卒 | 237,500円 |
短大・専門・高専卒 | 214,500円 |
平均年収は約575.6万円で、業界平均と同程度です。[出典]
将来性(EV車への対応)
ヨロズはEV化の進展に対応するため、軽量化技術の開発や新素材の採用に取り組んでいます。また、脱炭素社会の実現に向けて、社用車にEVを積極的に導入し、サステナブルマニュファクチャリングセンターを設立するなどの施策を進めています。[出典]
トランプ関税の影響
トランプ前大統領の関税政策により、自動車部品に対する関税が引き上げられ、ヨロズのような輸出依存度の高い企業はコスト増加や利益圧迫の影響を受けました。政府はこれに対処するため、資金繰り支援策を講じています。[出典]
口コミ
社員からは、若いうちから大きな仕事を任されることにやりがいを感じるという声がある一方で、給与の伸び悩みや評価制度の不透明さ、福利厚生の少なさなどに対する不満も見受けられます。[出典]
まとめ
株式会社ヨロズは、自動車部品業界で長い歴史を持ち、主要自動車メーカーとの取引実績があります。しかし、近年は業績の悪化やEV化への対応など、多くの課題に直面しています。今後の動向に注目が必要です。