日本精機株式会社は、自動車用メーターやヘッドアップディスプレイ(HUD)など、車載情報機器分野で世界的に高いシェアを誇る老舗部品メーカーです。
EV(電気自動車)シフトやグローバル市場の変化、米中貿易摩擦など外部環境が激変する中、同社はどのように生き残りを図っているのでしょうか。
本記事では、日本精機の会社概要から決算分析、給与水準、将来性、さらには口コミまで、幅広く解説していきます。
この記事の執筆者(本田)
自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。
この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。
昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。
日本精機株式会社の企業概要
日本精機株式会社(NIPPON SEIKI CO., LTD.)は、新潟県長岡市に本社を構える電子機器・メカトロニクス製品のメーカーです。
四輪車用・二輪車用の計器類、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、OA・情報機器操作パネル、空調・住設機器コントローラー、高密度実装基板EMSなどを製造・販売しています。
項目 | 内容 |
---|---|
設立 | 1946年12月24日 |
資本金 | 144億9,400万円(2024年3月31日現在) |
従業員数 | 連結:13,291名、単独:1,606名(2024年3月31日現在) |
売上高 | 連結:3,123億5,500万円、単独:1,351億7,600万円(2024年3月期) |
上場市場 | 東京証券取引所 スタンダード市場(証券コード:7287) |
主な製品と納入先
日本精機は、以下の製品を製造・販売しています:
- 四輪車用・二輪車用・汎用計器類
- OA・情報機器操作パネル
- 空調・住設機器コントローラー
- 高密度実装基板EMS
主要な取引先には、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、マツダ、スズキ、ダイハツ工業、SUBARUなどの自動車メーカーがあります。
決算分析と倒産リスク
2024年3月期の連結売上高は3,123億5,500万円であり、堅調な業績を維持しています。
倒産リスク評価
倒産確率は以下の通りで、リスクは低いと評価されています:
- 1年以内の倒産確率:0.05%
- 10年以内の倒産確率:0.50%
財務リスク、市場リスク、負債リスク、体力リスク、規模リスクの各項目も適正とされています。
給与水準と初任給
初任給(2024年4月実績)
学歴 | 月給 |
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専門・短大卒 | 189,630円 |
高専本科卒 | 199,630円 |
大学卒 | 220,630円 |
修士了 | 236,630円 |
博士了 | 256,130円 |
これらの初任給は、全国平均と比較して概ね平均的な水準とされています。
平均年収
平均年収は約390万円であり、給与に関しては地域によって評価が分かれています。
EV時代における将来性
日本精機は、EV(電気自動車)市場の拡大に対応するため、ヘッドアップディスプレイ(HUD)や車載ディスプレイの開発を強化しています。
また、台湾の全台晶像股份有限公司と車載TFT液晶ディスプレイモジュールの製造・市場拡大に関する協力覚書を締結し、グローバル展開を進めています。
トランプ関税の影響
前回のトランプ政権時には、メキシコや中国からアメリカへの輸出に対して追加関税が課され、年間約40億円の影響があったとされています。
今後、日本に対して10~15%の追加関税が課された場合、同様の影響が出る可能性があると予測されています。
社員の口コミ
ポジティブな意見
- 残業代がきちんと支給される。
- ボーナスが安定して支給される。
- 昇進や評価に関して、公平性がある。
ネガティブな意見
- 給与水準が地域によっては低いと感じる。
- 手当の廃止や改悪が進んでいる。
- 昇進・昇格が部署や上司によって異なる。
以上のように、日本精機は堅実な経営を行っており、EV市場への対応やグローバル展開を進めています。しかし、給与水準や評価制度に関しては、改善の余地があるとの意見も見受けられます。