自動車業界の電動化が急速に進む中で、駆動系部品メーカーの役割が問われています。そんな中、トルクコンバータやクラッチといったパワートレイン部品に強みを持つ「エクセディ」は、EV時代にも対応すべく変革を進めています。
老舗部品メーカーとしての安定感とともに、グローバル市場での競争力を保ちつつ、新たな領域への挑戦も加速中です。
この記事では、エクセディの企業情報、業績動向、給与水準、将来性、トランプ関税の影響、そして実際の口コミに至るまで、深く掘り下げて解説します。
この記事の執筆者(本田)
自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。
この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。
昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。
会社概要
基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
社名 | 株式会社エクセディ |
設立 | 1950年7月 |
資本金 | 82億84百万円 |
代表者 | 代表取締役社長 吉永 徹也 |
従業員数 | 14,197人(連結、2025年3月31日現在) |
売上高 | 3,096億円(2025年3月期連結) |
製品と納入先
エクセディは、マニュアルクラッチやトルクコンバータなどの駆動系部品を中心に、建設・産業機械用製品、二輪車用クラッチなどを製造・販売しています。主要取引先には、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、スズキ、SUBARU、マツダ、三菱自動車、いすゞ自動車、ダイハツ工業、日野自動車、ゼネラルモーターズ、フォード・モーター、現代自動車などが含まれます。
決算分析と倒産リスク
2025年3月期決算
エクセディの2025年3月期の連結最終損益は127億円の黒字となり、前期の100億円の赤字から大幅に改善しました。
特に1-3月期(第4四半期)の連結最終損益は25.6億円の黒字となり、前年同期の182億円の赤字から大きく回復しました。売上営業損益率も前年同期の-35.3%から7.4%に改善しています。
倒産リスク
エクセディの倒産確率は0.00%と非常に低く、事業リスク、収益リスク、負債リスク、体力リスク、規模リスクのすべてにおいて「適正」と評価されています。財務基盤は安定しており、短期的な倒産リスクは極めて低いと考えられます。
給与水準と初任給
初任給(2025年4月実績)
学歴 | 初任給(月額) |
---|---|
大学院卒 | 225,000円 |
大学卒 | 206,000円 |
高専卒 | 182,000円 |
高校卒 | 167,000円 |
平均年収と昇給・賞与
エクセディの平均年収は約548.1万円とされています。昇給は年1回(4月)、賞与は年2回(7月、12月)支給されます。入社から3年間は自動的に昇給する制度があり、安定的な給与の伸びが期待できます。
将来性(EV時代への対応)
エクセディは、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)向けの製品開発を加速しています。2024年には、英国のSaietta Group PLCの資産・知的財産権等を取得し、電動化製品の開発を強化しています。これにより、BEV用ワイドレンジドライブシステムや汎用電動駆動ユニットなどの次世代製品の開発が進められています。
トランプ関税の影響
過去のトランプ政権下での関税政策により、日本の自動車メーカーや部品メーカーは影響を受けました。エクセディも例外ではなく、北米向けの輸出に関しては注意が必要です。今後の米国の通商政策次第では、再び関税の影響を受ける可能性があります。
口コミ・評判
社員の声
- 「ボーナスは年2回毎年出る。毎年5,000円から10,000円は昇給した。」(生産管理・品質管理)
- 「基本的に残業がゼロなので、ワークライフバランスはしっかり取れた感覚。」(係)
- 「電気自動車の普及が広まれば、今後はクラッチやトルコンの需要が低迷する見通し。」(事務)
総評
エクセディは、駆動系部品の分野で長年の実績を持つ企業であり、主要自動車メーカーとの取引も多く、安定した経営基盤を有しています。電動化の波に対応するための取り組みも進められており、将来的な成長が期待されます。ただし、EV化による主力製品の需要減少には注意が必要であり、新たな製品開発や事業展開が今後の鍵となるでしょう。