自動車業界がやばい

部品メーカー×倒産の可能性

市光工業の強みと弱み|大手メーカーとの取引とヴァレオ傘下の影響とは?

自動車の電動化・自動運転化が加速する中で、車載ランプやミラーシステムといった視認性・安全性に関わる部品の重要性はますます高まっています。

こうした変化に対応し、長年にわたり国内外の自動車メーカーに信頼されてきたのが、市光工業株式会社です。

ヘッドランプやリアランプといった製品の開発・製造を手がける同社は、老舗でありながら革新を続けるグローバル企業でもあります。 本記事では、市光工業の会社概要、決算分析、給与水準、EV時代への対応、さらにはトランプ関税の影響や実際の口コミまで、総合的に深掘りしていきます。

この記事の執筆者(本田)

自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。

この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。

昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。

市光工業とは?

市光工業株式会社(ICHIKOH INDUSTRIES, LTD.)は、1903年創業の老舗自動車部品メーカーで、主に自動車用ランプ(ヘッドランプ、リアランプ)を中心に事業を展開しています。現在はフランスの大手サプライヤー「ヴァレオ」の傘下企業として、グローバルなサプライチェーンの一角を担っています。

会社概要

項目 内容
社名 市光工業株式会社
本社所在地 神奈川県伊勢原市板戸80
創業 1903年
従業員数 約4,900名(連結)
売上高 約1,459億円(2023年度)
親会社 ヴァレオ(Valeo S.A.)

製品と納入先

  • ヘッドランプ、リアランプ、LEDランプなどの車載照明
  • ミラーシステム(ドアミラー、ルームミラー)
  • 主な納入先:トヨタ、日産、スズキ、SUBARU、ダイハツ、ホンダ、三菱、いすゞ など

決算分析と倒産の可能性

2025年12月期 第1四半期の動向

  • 売上は子会社売却の影響で減少傾向
  • 営業利益は前年並みを維持
  • 経常利益・純利益ともに前年同期比で増益
  • 構造改革とコスト削減が功を奏している

倒産リスク

フランスのヴァレオが親会社であり、財務的な支援体制が整っていることから、倒産リスクは極めて低いと判断されます。また、国内大手メーカーとの安定的な取引も大きな支えです。

給与水準と初任給

学歴 初任給(2025年)
大学院卒 250,000円
大学卒 231,000円
高専卒 205,500円
専門・短大卒 199,000円~201,000円
  • 昇給:年1回
  • 賞与:年2回(6月・12月)
  • 各種手当:通勤手当、家族手当、交替勤務手当、資格手当など

将来性(EV時代への対応)

自動車の電動化により、LEDランプやセンサー技術への需要が高まっており、市光工業にとってはむしろチャンスの時代です。特に「ADAS(先進運転支援システム)」や「スマートランプ」などの開発が進んでおり、将来の成長分野として注目されています。

成長戦略

  • LED化と自動運転対応のランプ技術開発
  • グローバル市場でのValeoとの連携強化
  • 北米・アジア市場での拡販

トランプ関税の影響

米中貿易摩擦やトランプ政権時代の関税政策により、一時的に部材コストが上昇した影響はあるものの、市光工業は主にアジア圏と欧州圏に生産拠点を持っており、北米依存が少ないため影響は限定的です。今後の大統領選次第では再燃する可能性もあります。

口コミ・評判

社員の声(口コミサイトより)

  • 「安定しているが、親会社の意向が強く働く」(開発部)
  • 「福利厚生は手厚いが、勤務地が限定的」(生産技術)
  • 「製造現場は海外拠点との連携が多く、英語スキルが必要」(現場職)

総評

市光工業は、老舗ランプメーカーとして自動車業界の中で独自のポジションを築いており、EV化の流れにも乗る形で今後も需要は堅調に推移すると考えられます。安定志向の就職先としても魅力的ですが、親会社との連携や海外展開への柔軟性が今後のカギとなりそうです。

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