自動車業界がやばい

部品メーカー×倒産の可能性

タチエスは業績好調?独立系シートメーカーのグローバル戦略とEV時代の挑戦

株式会社タチエスは、自動車業界における「シート専門メーカー」として国内外で高い存在感を示している独立系企業です。

トヨタや日産など大手自動車メーカーを取引先に持ち、70を超える拠点を世界中に展開するグローバル企業として、着実な成長を遂げてきました。

近年ではEVや自動運転といった自動車業界の大転換期を迎え、座席の在り方にも大きな変化が求められる中で、タチエスはどのようにその技術力と経営戦略を進化させているのでしょうか。

本記事では、企業概要から決算状況、将来性、過去の課題、そして従業員の声まで、多角的にタチエスの現状と未来を読み解いていきます。

この記事の執筆者(本田)

自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。

この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。

昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。

タチエスを徹底分析|独立系シートメーカーの実力とEV時代の展望

株式会社タチエスは、東京都青梅市に本社を構える独立系の自動車シートメーカーです。1954年の設立以来、自動車座席および座席部品の製造・販売を手がけ、トヨタ自動車や日産自動車などの主要自動車メーカーに製品を供給しています。国内外に70拠点(13ヶ国)を展開し、グローバルな生産・開発・販売体制を確立しています。

会社概要

項目 内容
社名 株式会社タチエス
設立 1954年4月7日
代表者 代表取締役社長 山本 雄一郎
本社所在地 東京都青梅市末広町1丁目3番1号
資本金 90億40百万円
従業員数 連結:10,560名、単体:1,149名(2025年3月31日現在)
売上高 連結:2,853億円、単体:1,072億円(2025年3月期)
主要取引先 トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、三菱自動車工業など

会社概要

決算分析と倒産の可能性

タチエスの2025年3月期連結売上高は2,853億円で、前年同期比で増収となりました。営業利益や経常利益も増加傾向にあり、財務状況は良好です。

倒産確率は1年、10年ともに0.00%と評価されており、倒産の可能性は極めて低いと考えられます。

倒産確率Web

給与水準と初任給

学歴 初任給(月給)
大学院卒 216,000円
大学卒 204,500円
高専・短大・専門卒 190,000円

賞与は年2回(7月、12月)支給され、2024年度の年間実績は4.4ヶ月分です。

年間休日は121日で、完全週休2日制(土日)を採用しています。

将来性(EV車への対応)

EV(電気自動車)の普及に伴い、自動車シートにも軽量化や薄型化が求められています。

タチエスは、EV向けに軽量化を実現した「TTK-Xフレーム」を開発し、OEM各社に提案しています。また、自動運転車向けの「自動調整型」シートや、移動空間を快適にする「移動マイルーム」など、新たな製品開発にも取り組んでいます。

トランプ関税の影響

2025年に再導入されたトランプ関税により、日本からの自動車部品に対して最大25%の追加関税が課されました。

タチエスの山本雄一郎社長は、「販売台数は間違いなく減る。これが一番のインパクトとなる」と述べ、関税の影響を懸念しています。今後は、生産拠点の見直しやコスト削減などの対策が求められます。

過去の不祥事

1987年、タチエス(当時の社名は立川スプリング)は、労働組合員4名を懲戒解雇したことに対し、不当労働行為として中央労働委員会に申し立てられました。

最終的に、申立ては棄却されましたが、労使関係における課題が浮き彫りとなった事例です。

いずれにしても昔の話ですね。

口コミ

社員からの口コミでは、以下のような意見が見られます。

  • 給与水準は業界平均と比較してやや低めだが、残業代や賞与でカバーされている。
  • 福利厚生が充実しており、退職金制度や確定拠出年金が導入されている。
  • 製造現場は重労働であり、特に冬場は作業が厳しいとの声がある。
  • 社内の意思決定に時間がかかることがあり、スピード感に欠けるとの指摘もある。
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