自動車業界がやばい

部品メーカー×倒産の可能性

倒産リスクはある?自動車電機工業の経営の安定性を数字でチェック!

自動車電機工業は、自動車の心臓部ともいえる電装部品や電子制御ユニット(ECU)、各種センサーを手がける中堅サプライヤーとして、長年にわたり日本の自動車産業を支えてきた企業です。

トヨタや日産、ホンダといった大手自動車メーカーへの納入実績を持ち、信頼性の高い製品供給体制を築いています。

近年では、EV(電気自動車)や自動運転車の普及が進み、従来のエンジン制御部品に加え、電動モジュールや高精度センサーの需要が高まる中、同社の対応力と技術開発の方向性に注目が集まっています。

本記事では、自動車電機工業の企業概要、財務状況、競合との比較、将来性、さらには社内の評判や労働環境に至るまで、総合的に分析していきます。

この記事の執筆者(本田)

自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。

この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。

昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。

 

自動車電機工業の会社概要(製品・納入先)

製品カテゴリ 主な製品
電装部品 スターター、オルタネーター、ワイヤーハーネス
制御ユニット エンジンECU、トランスミッションTCU
センサー類 酸素・温度・圧力センサー

納入先はトヨタ、日産、ホンダ、マツダなどの完成車メーカーが中心で、Tier1サプライヤーとして高い信頼を得ています。

決算分析(倒産の可能性)

指標 内容
売上高 約500億円
営業利益 約30億円
自己資本比率 約52%
倒産リスク 低(財務体質良好、受注安定)

競合他社との比較

企業名 売上規模 得意分野 特徴
自動車電機工業 約500億円 ECU、電装品 小回りの効く対応と品質
デンソー 約5兆円 車載制御・空調・ADAS 研究開発力と海外拠点網
日立Astemo 約2兆円 パワートレイン・制御機器 モビリティ向け統合技術

給与水準(初任給含む)

職種 初任給 平均年収
技術系(大卒) 210,000円 約480万円
事務系(大卒) 205,000円 約450万円

賞与は年2回(年間約4.0ヶ月分)、住宅手当・資格手当など福利厚生も整っています。

将来性・安定性(EV化の影響)

自動車電機工業の将来性と安定性は、今後の自動車業界のEV(電気自動車)化の進展によって大きく左右されます。

同社はこれまで主に内燃機関車向けの電装部品(配線、センサー、リレーなど)を中心に事業を展開してきましたが、EVの普及により、エンジン周辺部品の需要は今後減少が見込まれています。その一方で、EV車にも不可欠な電装系統部品は数多く存在し、特に高電圧系のセンサーやバッテリー管理部品への対応力が将来の競争力に直結します。

現在、自動車電機工業はEVシフトに対応するための製品開発を進めており、一部の製品は既にEV向けに供給を開始しています。しかし、大手サプライヤーと比べると、研究開発資源やグローバルな開発拠点の面で劣る部分があり、安定した受注獲得には課題も残ります。

また、財務面では近年の原材料高騰や受注減少の影響を受け、営業利益率は低水準で推移しています。ただし、自己資本比率は一定水準を保っており、急激な経営危機に陥るリスクは現時点では低いと考えられます。

総じて、自動車電機工業の将来性は「EV化の波にいかに柔軟に対応できるか」にかかっており、特定分野への特化や技術提携によって生き残りを図ることが鍵となります。安定性については、今後の収益構造の変化と開発投資のバランスが重要な要素です。

トランプ関税の影響・海外展開

自動車電機工業にとって、トランプ政権下で導入された通商拡大法232条や通商法301条による追加関税は一定の影響を与えました。特に鉄鋼・アルミ、電子部品などの素材コストが上昇したことで、部品価格の調整や収益率の圧迫が見られました。自社で原材料を調達している製品についてはコスト転嫁が難しく、海外の完成車メーカー向け納入価格にも影響を及ぼしました。

加えて、アメリカを含む北米市場への輸出についても、関税リスクを避けるためのサプライチェーン見直しが求められました。現地生産拠点を持たない中小規模メーカーにとっては、生産体制の柔軟性が限定的で、輸出コストの上昇が競争力低下につながるケースもあります。

一方で、自動車電機工業はアジア(中国・タイ・インドネシアなど)を中心に海外展開を進めており、東南アジア市場では現地合弁・OEM供給を通じて一定のシェアを獲得しています。これらの地域は今後のモータリゼーション拡大が見込まれており、戦略的な重点地域とされています。

米中貿易摩擦や政権交代に伴う通商政策の変化により、アメリカ向け輸出の不確実性は依然として残っていますが、複数地域への分散型供給網を構築することでリスクヘッジを図っている点は評価できます。

今後は、北米・欧州といった主要市場向けの製品について、現地企業との技術提携や生産委託を活用するなど、関税の影響を受けにくい販売体制の確立が持続的な成長のカギとなるでしょう。

過去の不祥事

特筆すべき重大な不祥事は公表されていません。品質トラブルやリコールの発生も稀で、品質管理体制は比較的良好と評価されています。

口コミ(良い口コミ・悪い口コミ)

良い口コミ
  • 堅実な社風で、落ち着いた職場環境。
  • 設計と現場の距離が近く、技術者としての成長機会が多い。
  • ワークライフバランスが取りやすい。残業は月20時間以内。
悪い口コミ
  • 昇給が年功序列気味で、若手にはやや不満。
  • 海外進出が遅れており、先端技術の開発力は大手に劣る。
  • 社内の意思決定がやや保守的でスピード感に欠ける。

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