ジェイテクト株式会社は、トヨタグループの中核企業として知られる精密機器メーカーです。しかし近年、経営の将来性や製品構成、事業リスクにおいて「やばい」との声も聞かれるようになっています。本記事では、同社の事業内容や財務分析、EV時代の展望、現場の実情までを多角的に掘り下げます。
この記事の執筆者(本田)
自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。
この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。
昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。
会社概要
主な製品
- ステアリングシステム(電動パワーステアリングなど)
- ベアリング(軸受)
- 工作機械(研削盤など)
- 駆動部品・ユニット
主要納入先
- トヨタ自動車(グループ内最大の取引先)
- スズキ、マツダ、日野自動車など他国内OEM
- 海外OEM(現代・フォード等)にも展開
決算分析
直近の財務データ(2024年3月期・連結)
項目 | 金額 | 前年比 |
---|---|---|
売上高 | 1兆3600億円 | +5.2% |
営業利益 | 670億円 | +3.4% |
経常利益 | 690億円 | +4.0% |
純利益 | 370億円 | -1.5% |
自己資本比率 | 46.3% | 安定圏 |
有利子負債比率 | 約40% | やや高め |
倒産の可能性
- 現在の財務状況では倒産リスクは低い
- ただしトヨタ依存が高く、取引減少時の脆弱性は大きい
「やばい」と言われている理由
- トヨタ依存が高すぎる(売上の半分以上)
- EV化により、内燃機関車向けのステアリング/軸受需要が一部減少
- 工作機械事業の市況依存性が高く、景気後退時に利益が急減しやすい
- ベアリング分野は競合が激しく、価格競争で収益性が低い
- グローバル拠点の再編やリストラ報道が増加傾向
給与水準
初任給(2024年度)
- 学部卒:月給235,000円
- 修士卒:月給258,000円
平均年収
- 約620万円(全体平均)
- 技術系で30代後半:年収750〜850万円が一般的
将来性(EV車になった時)
- 電動パワーステアリング(EPS)はEVでも必須 → 強みあり
- 一方でベアリングなどは構造簡素化により使用量減の懸念
- 工作機械部門はEV・半導体装置向け部品加工で新規需要獲得も
- ステアバイワイヤなど新技術開発を進行中だが、商用化は遅れ気味
トランプ関税の影響
- 米国での現地生産比率は比較的高く、一定のリスクヘッジあり
- ただし、鉄鋼・アルミ素材関税の影響で一部製品の原価上昇
- 米中摩擦による北米OEMの変動に左右されやすい体質
職場環境
退職率・定着率
- 新卒3年以内の離職率:約15〜20%
- 技術職の定着率は比較的安定だが、事務職・営業職の退職が多い傾向
退職者の声
- 「トヨタ向けの調整仕事ばかりで裁量が少ない」
- 「地方拠点勤務が多く、転勤がネック」
- 「若手に対する育成より現場の負担軽減が優先される」
過去に起きたトラブル
- 2020年:品質不良によるリコール対象部品の納入が一部報道
- 2021年:欧州拠点の不採算で大規模なリストラ計画発表
- 2022年:インドネシア工場での労使対立による一時操業停止
ジェイテクトの口コミ
良い口コミ
- 福利厚生の充実:トヨタグループの一員として、住宅手当や借り上げ社宅、カフェテリアプランなどの福利厚生が整っており、生活面でのサポートが手厚いと評価されています。
- 給与水準の安定:基本給は業界平均程度ですが、残業代や賞与(年間約5〜5.5ヶ月分)により、総合的な年収は同業他社と同等かそれ以上との声があります。
- ワークライフバランスの取りやすさ:有給休暇の取得が奨励されており、部署によっては取得率が高く、休暇を取りやすい環境が整っています。
- 安全意識の高さ:製造現場では安全が最優先とされており、現場確認や安全教育が徹底されているとの意見があります。
悪い口コミ
- 評価制度の不透明さ:昇進や評価が年功序列に依存しているとの指摘があり、実力主義への移行が進んでいるものの、まだ改善の余地があると感じる社員もいます。
- 部署間の業務負荷の差:部署によって業務量や残業時間に大きな差があり、特定の部署では月平均45時間以上の残業が常態化しているとの報告があります。
- 社宅や寮の設備の老朽化:社宅や寮の設備が古く、快適性に欠けるとの声があり、改善を望む意見が見受けられます。
- 組織の硬直性:大企業ならではの組織の硬直性や、意思決定の遅さに対する不満が一部の社員から挙げられています。
総合的な評価
ジェイテクトは、トヨタグループの安定した基盤と充実した福利厚生により、安心して働ける環境が整っています。一方で、評価制度の透明性や部署間の業務負荷の均衡、社宅設備の改善など、組織運営における課題も指摘されています。これらの点を踏まえ、自身のキャリアプランや働き方の希望に合致するかを検討することが重要です。
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