自動車業界がやばい

部品メーカー×倒産の可能性

【曙ブレーキはやばい?】経営再建中の現状と将来性を徹底解説

曙ブレーキ工業株式会社(AKEBONO BRAKE INDUSTRY CO., LTD.)は、ブレーキシステムの専業メーカーとして国内外に広く展開している企業です。

日本だけでなく、アメリカ・欧州・アジアにも生産拠点を持ち、世界の自動車メーカーに部品を供給しています。

しかし、近年は経営再建中であり、「やばい」とささやかれることも少なくありません。本記事では、曙ブレーキの最新情報と将来性について詳しく解説します。

この記事の執筆者(本田)

自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。

この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。

昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。

 

曙ブレーキの最新ニュース

  • 2024年6月:新中期経営計画「AKEBONO VISION 2026」を発表。EV・高性能車向け製品開発を強化。
  • 2023年12月:構造改革の一環として国内工場の生産体制を見直し、人員配置を最適化。
  • 2023年4月:債務超過状態を脱却し、再建プロセスが一区切り。

会社概要

企業基本情報

項目 内容 コメント
会社名 曙ブレーキ工業株式会社(Akebono Brake Industry Co., Ltd.) 通称「曙ブレーキ」、1929年創業の老舗部品メーカー
設立 1929年1月27日 日本で初めてブレーキライニングを製造した企業
本社所在地 〒103-0022 東京都中央区日本橋室町1-13-7 PMO日本橋室町 2021年に埼玉県から本社機能を移転
資本金 199億6,300万円(2024年3月末時点) 事業再建中ながら比較的高い資本金を維持
上場市場 東京証券取引所 スタンダード市場(証券コード:7238) プライムからスタンダードに降格済み
従業員数 連結:8,941名/単体:1,501名(2024年3月時点) 北米・アジア・欧州に多くの拠点を持つグローバル企業
代表者 代表取締役社長 CEO 鈴木 学 2021年に再建を担う形で就任

主な製品と技術

  • ディスクブレーキ・ドラムブレーキ: 乗用車・商用車向けの主力製品
  • ブレーキパッド・ライニング: アフターマーケットでも流通あり
  • 高性能ブレーキ: F1・スーパーGTなどモータースポーツ分野にも展開
  • 鉄道・産業機械向けブレーキ: 非自動車分野にも技術を応用

拠点とグローバル展開

地域 主な拠点 コメント
日本 本社(東京)、研究開発拠点(栃木)、製造拠点(埼玉・山形など) 研究・開発は国内集中、製造は分散
北米 アメリカ(サウスカロライナ、ケンタッキー) 売上の約5割を占める主力市場
欧州 フランス・英国などに営業・製造拠点 BMWやメルセデス向けに高性能品を供給
アジア 中国、インドネシア、タイ 現地OEM向け部品供給の拠点

顧客・取引先

  • 完成車メーカー: トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、スバル、GM、フォード、BMW、メルセデス・ベンツなど
  • 鉄道・建機メーカー: JR各社、コマツ、日立建機など

会社概要のまとめ

  • 曙ブレーキは「ブレーキの曙」と呼ばれる日本のパイオニア企業。
  • 一時は倒産寸前まで追い込まれたが、ADR(私的整理)で再建中。
  • EV時代にも必要な「制動技術」に特化しており、一定の市場価値を維持。
  • 今後はモビリティ全体の安全制御技術への発展がカギ。

決算分析

2024年3月期 連結決算の解説

2024年3月期の曙ブレーキは、前期に比べて大きく改善した業績を記録しました。特に営業利益は前年比+245.8%と急回復しており、再建が一定の成果を上げていることが見て取れます。しかし、財務体質としてはまだ脆弱な面が残っています。

項目 金額 前年比 解説
売上高 2,008億円 +7.1% 主に北米市場での回復、アフターマーケット品の販売増加が貢献。
営業利益 38億円 +245.8% コスト削減と不採算事業の整理が奏功し、黒字を大幅拡大。
経常利益 30億円 黒字転換 為替差益や金融収支改善により、2年ぶりの黒字転換。
当期純利益 12億円 黒字転換 過去数年赤字だったが、構造改革の成果で最終利益も黒字へ。
自己資本比率 18.2% 依然として低水準 財務の健全性は依然課題。債務超過の危機からは脱したが、資本強化が必要。

営業・経常・最終利益の全てで黒字転換を果たした点は大きな前進ですが、依然として自己資本比率が20%を下回っている点は、将来の不確実性を示す重要なリスク要因です。さらなる自己資本の充実と、EV向けや海外成長市場への対応力が今後の成長に不可欠です。

倒産の可能性

  • 2020年に債務超過に陥り、事業再生ADRにより再建中
  • 財務は持ち直しつつあるが、自己資本比率は依然として低い
  • 黒字化したが、安定性はまだ十分ではない

「やばい」と言われている理由

  • 数年にわたる赤字と債務超過で、再建企業のイメージが強い
  • 北米事業の不振とリストラが続いた
  • 財務基盤が脆弱で、景気変動への耐性が低い
  • 大手完成車メーカーに比べ技術革新のスピードが劣る

給与水準

初任給(2024年度)

  • 学部卒:月給224,000円
  • 修士卒:月給248,000円

平均年収

  • 約560万円(従業員平均)

将来性(EV車になった時)

  • EVでもブレーキは必要不可欠な安全部品であり需要は持続
  • ただし、回生ブレーキの影響で摩耗部品の需要は減少傾向
  • 高性能車やモータースポーツ市場で差別化を狙う戦略
  • EV向けに静音性・耐熱性を強化した製品群を開発中

トランプ関税の影響

  • 米国での生産拠点を保有し、一定のリスクヘッジあり
  • ただし、鉄鋼・アルミ等の関税強化により原価が上昇
  • 米中摩擦の煽りで北米サプライチェーン再構築が必要に

職場環境

定着率・離職率

  • 新卒3年以内の離職率:約20%
  • 国内拠点の技術職は安定傾向、海外駐在・事務職で離職が目立つ

退職者の声

  • 「再建中の雰囲気で人が足りず業務が逼迫していた」
  • 「人事制度が整備途中で評価が不明瞭」
  • 「現場と経営陣の温度差が大きかった」

過去に起きたトラブル

  • 2019年:債務超過で事業再生ADR申請、金融機関から支援を受ける
  • 2020年:北米工場の操業停止と人員削減
  • 2022年:一部拠点での製品不良による納入遅延報告

曙ブレーキの口コミ解説

総合評価

項目 評価(5点満点) コメント
給与・待遇 3.0 製造業としては平均的。賞与変動が大きく、赤字期にはカットあり。
労働時間・働き方 3.2 フレックス制・在宅勤務制度あり。現場系はシフト勤務で残業あり。
人間関係 3.6 比較的風通しは良いが、古参社員との価値観の差を感じることも。
成長環境・教育 3.1 研修制度は標準的だが、実務で学ぶことが多い。若手登用もやや控えめ。
経営陣への信頼 2.8 再建フェーズのため、社内からの信頼はまだ道半ば。

良い口コミ(ポジティブな意見)

  • 「部品メーカーとしては珍しくグローバルに展開しており、英語や海外経験を積むチャンスがある」
  • 「最近は若手の意見も聞いてくれる空気になってきた」
  • 「福利厚生は悪くない。食堂も充実していて健康に配慮している」
  • 「北米拠点での経験は、他社への転職時にもアピールできた」

悪い口コミ(ネガティブな意見)

  • 「赤字が続いていた時期のリストラや給与カットでモチベーションが下がった」
  • 「古い体質が残っていて、根回しや上司への忖度が必要な場面がある」
  • 「ホワイトカラーとブルーカラーの格差が感じられる」
  • 「変化のスピードが遅く、競合に遅れているという危機感がある」

口コミから見える企業文化

  • 「保守的で安定志向が強い」が、再建を機に徐々に変革意識が芽生えつつある
  • 上下関係を重んじる日本的文化が色濃いが、若手の積極的な提案も徐々に受け入れられている
  • 現場との距離感に課題があり、部門間の連携不足が指摘されることも

口コミのまとめ

曙ブレーキの口コミは、「保守的だが安定した職場環境」と「再建中で不確実な将来性」という2つの視点から評価されています。企業体質は少しずつ改善傾向にあり、これから入社する人にとっては、変化を牽引できるタイミングでもあります。特にグローバルで働きたい人や、車両安全に興味のある人には魅力的な環境と言えるでしょう。

将来的な展望

曙ブレーキは、赤字・債務超過からの再建を果たしつつありますが、財務基盤はなお脆弱であり継続的な収益確保が課題です。

EV時代においても「ブレーキ」というコアな製品を武器に、静音性や耐久性といった高付加価値分野で差別化を図る戦略が求められます。

自動車産業の構造変化の中で、確かな技術と柔軟な事業再編を両立できるかが、曙ブレーキの将来を左右するカギとなるでしょう。

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