自動車業界がやばい

部品メーカー×倒産の可能性

トラブル続きのファインシンター、それでも潰れない理由とは?

ファインシンター株式会社は、粉末冶金技術を活用した自動車部品の製造を主力とする企業で、トヨタ系のサプライヤーとして知られています。

近年はEVシフトやグローバル競争の激化に対応すべく、電動化関連部品の開発や国内外拠点の再編を進めています。

本記事では、同社の最新動向や業績、職場環境などを多角的に分析し、将来性を考察します。

この記事の執筆者(本田)

自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。

この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。

昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。

 

ファインシンターの最新ニュース

  • 2025年6月:「人とくるまのテクノロジー展 2025 NAGOYA」に出展。
  • 2025年3月:不適切な会計処理の再発防止策として行動憲章を更新。
  • 2025年3月:「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定。

会社概要

基本情報

  • 社名:株式会社ファインシンター
  • 設立:1950年
  • 本社所在地:愛知県春日井市
  • 資本金:22億円
  • 従業員数:856名(2023年3月期)
  • 上場市場:東証スタンダード(証券コード:5994)

事業内容

  • 自動車用粉末冶金部品の製造・販売
  • 油圧機器製品の製造・販売
  • 鉄道車両用部品の製造・販売

主要納入先

  • トヨタ自動車株式会社
  • トヨタ車体株式会社
  • トヨタ紡織株式会社
  • 本田技研工業株式会社
  • 日産自動車株式会社

日産自動車との関係性と影響

ファインシンターは、日産自動車向けに自動車部品を供給しています。

特に、EV向けのリアクトルコアやインバーター部品など、電動化に対応した製品の開発・供給を強化しており、日産のEV戦略において重要なサプライヤーの一つと位置付けられています。

決算分析(倒産の可能性)

2025年3月期 連結決算

項目 金額 前年比
売上高 420億円 -1.7%
営業利益 9億円 +31.7%
純利益 2億円 黒字転換

売上高は微減となったものの、営業利益は前年比で大幅に増加し、純利益も黒字転換を果たしました。これは、事業ポートフォリオの変革や海外展開、コスト管理の徹底による収益基盤の強化が奏功した結果と考えられます。

「やばい」と言われている理由

  • インドネシア子会社での不適切な会計処理が発覚し、過去4年間にわたって資産が過大計上されていた。
  • これにより、4期連続の赤字に陥り、経営に対する不安が広がった。
  • コスト管理や収益性の低下が懸念され、競争力の弱体化が指摘されている。

給与水準(初任給も)

初任給(2025年4月実績)

  • 大学院卒:月給276,000円
  • 大学卒:月給254,000円

賞与は年2回(7月、12月)で、2024年度の年間実績は平均4.3ヶ月分でした。昇給は年1回(4月)に実施されています。

将来性(EV車になった時)

  • EV化に伴い、リアクトルコアやインバーター部品などの電動化関連部品の需要が増加。
  • ファインシンターは、リアクトルコアの生産能力を年間380万台まで拡大し、次世代コアの開発を加速中。
  • 中期経営計画「FINE SINTER VISION 2030」に基づき、電動化や新事業への投資を強化。

職場環境(退職者、定着率など)

  • 社員の定着率は90%以上と高水準を維持。
  • 平均残業時間は月20時間程度で、ワークライフバランスに配慮された職場環境。
  • 有給休暇の取得率も高く、年間一定数の休暇取得が可能。

退職者の声

  • 「業績が芳しくないことから、残業0規制が導入され、仕事量に対して時間が足りないと感じる。」
  • 「EV化が進む中で業績が頭打ちになっており、やりたいことがあまりできない。」
  • 「賞与減額などで年収が下がっており、将来に不安を感じる。」

過去に起きたトラブル

  • インドネシア子会社での不適切な会計処理が発覚し、過去4年間にわたって資産が過大計上されていた。
  • これにより、4期連続の赤字に陥り、経営に対する不安が広がった。
  • 過去には、障害者を最低賃金以下で違法に雇用していたことが発覚し、労働基準監督署から指導を受けた。

口コミ(考察も入れる)

良い点

  • 「粉末冶金というニッチな技術を売りにしており、他社では代えが利きにくい。」
  • 「競合他社が比較的少なく、トヨタとしても簡単に手を切ることはできないと考えられる。」

悪い点

  • 「業績が芳しくないことから、残業0規制が導入され、仕事量に対して時間が足りないと感じる。」
  • 「EV化が進む中で業績が頭打ちになっており、やりたいことがあまりできない。」
  • 「賞与減額などで年収が下がっており、将来に不安を感じる。」

ファインシンターは、粉末冶金というニッチな技術を強みに持ち、競合他社が少ないことから一定の市場優位性を保っています。しかし、EV化の進展や業績の頭打ちにより、将来に対する不安の声も上がっています。今後は、電動化関連部品の開発・供給を強化し、収益基盤の強化を図ることが求められます。

将来的な展望

ファインシンターは、中期経営計画「FINE SINTER VISION 2030」に基づき、電動化や新事業への投資を強化しています。リアクトルコアの生産能力拡大や次世代コアの開発を進めることで、EV化の進展に対応し、収益基盤の強化を図っています。また、国内外拠点の再編やコスト管理の徹底により、経営の効率化を進めています。今後は、電動化関連部品の需要増加に対応し、持続的な成長を目指すことが期待されます。

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