自動車業界がやばい

部品メーカー×倒産の可能性

日産との関係はどうなる?アルプスアルパインの業績とOEM依存のリスク

アルプスアルパイン株式会社は、車載・民生・産業向けの電子部品・センサー・モジュールを手がけるグローバル企業で、自動車やIT機器、IoT分野で存在感を示しています。特に車載向けセンサー・アクチュエータの技術力と中期経営戦略の明確化により、業績は大幅改善。

ただし、日産など自動車メーカーの販売減少や貿易環境の変化という逆風に対し、今後の舵取りが問われています。

この記事の執筆者(本田)

自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。

この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。

昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。

 

アルプスアルパインの最新ニュース

  • 2025年4月、PCIM Europe 2025にてEV向け大電流センサーやDC-DCリレーを出展 。
  • 2025年1月、スマートロガー「Lykaner N5(NB‑IoT資産トラッカー)」を発表 。
  • 2025年5月、自己株式の買い付け(10万株)を実施し、株主還元を強化 。

会社概要

基本情報

  • 社名:アルプスアルパイン株式会社(ALPS ALPINE CO., LTD.)
  • 上場:東京証券取引所プライム市場(証券コード:6770)
  • 事業セグメント:コンポーネント/センサー・コミュニケーション/モジュール・システム
  • 製品例:車載スイッチ・アクチュエータ、センサーIC、車載モジュール、資産トラッカーetc.

日産自動車との関係性と影響

アルプスアルパインの車載センサーやモジュールは、日産のインフォテインメントや安全装備、EV・HEVの高電流センサーなどに採用されています。

日産車の生産動向が売上へ直結する構造のため、世界的な販売停滞やEV移行への対応が業績面での鍵を握ります。

決算分析(倒産リスク)

2025年3月期 連結決算

項目 金額 前年比
売上高 9,904 億円 +2.7%
営業利益 341 億円 +73.0%
経常利益 305 億円 +23.0%
当期純利益 378 億円(前期は▲298 億円) 黒字化
自己資本比率 55.9% 健全水準

営業利益は車載・民生の好調と構造改革により大幅増益。自己資本も強化され、財務的には盤石です 。

2026年3月期見通し

  • 売上高見通し:9,100 億円(▲8.1%)
  • 営業利益:170 億円(▲50.2%)
  • 純利益:45 億円(▲88.1%)

日産などOEMの車両生産の低迷やトランプ関税による北米影響で減収・減益見込み 。

「やばい」と言われている理由

  • 中期計画達成後の業績急落:顧客先の不調で利益が半減予測。
  • 為替・関税リスクに対する依存度が依然高い。
  • センサー・モジュール事業における収益変動や投資回収負担。

給与水準

初任給

  • 大学卒:月給約230,000円(推定)
  • 大学院卒:月給約245,000円(推定)

賞与や昇給は年2回。中堅電子部品メーカーとして平均~やや上水準。

将来性(EV車になった時)

  • EV向け大電流センサー、DC‑DCリレーなどの開発・出展を進めており、車載センシングの強みがある 。
  • 車載モジュール事業の黒字化、コンポーネント収益拡大の中期計画が掲げられている 。

職場環境(定着率・退職者動向)

  • 従業員数:約30,000名(推定)
  • 中大型電機メーカーとして福利厚生や育成体制は整備済み。
  • 一方、事業構造改革や海外拠点の再編で異動や負荷増に課題感を持つ声も。

退職者の声

  • 「構造改革のスピードが速く、慣れない環境にストレスがあった」
  • 「新事業分野で裁量がある反面、教育制度とのミスマッチも見られる」

過去のトラブル

  • 2024年頃に車載モジュール関連の納入遅延が発生し、損失・クレーム対応が起きた。
  • 調達先の電子部品品質不良による再検査コスト増が短期的に続く。

アルプスアルパインの口コミまとめ

良い口コミ

  • 技術力が高い:「車載センサーやスイッチなどニッチ分野で世界トップクラスの技術がある」
  • グローバルに活躍できる:「海外拠点も多く、英語を使った業務や海外出張のチャンスも多い」
  • ワークライフバランス:「配属先によるが、有給休暇は比較的取りやすく、残業もそこまで多くない」
  • 社風が穏やか:「比較的温和な人が多く、上下関係もフラットで仕事がしやすい」

悪い口コミ

  • 評価制度の曖昧さ:「成果が評価に直結しづらく、年功序列的な昇進も残っている」
  • 事業構造改革による混乱:「統合以降、事業や組織の再編が頻繁にあり、現場の混乱もあった」
  • 将来性への不安:「日産など主要顧客に依存している部分があり、自動車業界の変化に影響されやすい」
  • 業務量の偏り:「部署によっては多忙で残業が多く、配属先による当たり外れが大きい」

考察

アルプスアルパインは、車載センサーやスイッチといった専門技術を強みに持ち、グローバル展開も進んでいる点が高評価されています。一方で、業績の波やOEM依存体質、内部評価制度への不満が課題として挙がっています。職場環境は配属部署によって大きく異なるものの、全体としては穏やかな社風が評価されています。

将来的な展望

アルプスアルパインは、過去5年で収益構造を大幅に改善し、自己資本や営業利益額も回復基調です。一方で、車載OEM依存の壁、為替・関税リスク、EVシフトに伴う構造変化の中で、即応性ある高付加価値製品への転換がカギとなります。中期経営計画は「センサー・モジュールでROE10%」「構造改革と新分野投資の両立」がテーマで、EV時代に不可欠なセンシング・電力制御分野での収益基盤確立が期待されます。

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