自動車業界がやばい

部品メーカー×倒産の可能性

日野×ふそう統合でどうなる?ショーワに迫る再編の影とサプライヤー競争

サスペンションやステアリングといった「足回り部品」の分野で長年にわたり技術力を誇ってきたショーワ(SHOWA)。

ホンダ系の中核サプライヤーとして世界的な実績を築いた同社は、現在では日立Astemoの一部門として再編され、自動車業界の急速なEVシフトとグローバル競争の波に直面しています。近年では「やばい」との噂も聞かれるショーワですが、その真相や業績、将来性を含め、最新情報をもとに詳しく解説していきます。

この記事の執筆者(本田)

自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。

この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。

昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。

 

ショーワの最新ニュース(2025年上半期)

  • 2025年4月、日立Astemoが欧州サスペンション拠点の統廃合を発表。ショーワの技術基盤をベースに統一展開へ。
  • 国内では群馬工場に一部EV車向けサスペンションの開発ライン新設を発表。
  • 2024年には中国市場で新型バイク用ダンパーが現地生産開始。

会社概要と特徴

基本情報

項目 内容
会社名 株式会社ショーワ(SHOWA)
設立 1938年
本社 埼玉県行田市(現:日立Astemo傘下)
事業内容 サスペンション、ステアリング、油圧部品の開発・製造
従業員数 約9,000人(国内外)

ショーワは長年にわたり二輪・四輪の足回り部品を手がけ、特にバイク向けでは世界シェア上位を誇ります。現在は日立Astemoの「シャシー技術部門」として統合され、グローバル市場で競争力を維持しています。

主な製品・納入先

  • 製品:ショックアブソーバー、ストラット、ステアリングダンパー、フロントフォークなど
  • 納入先(過去・現在):ホンダ、日野、三菱ふそう、スズキ、ヤマハ、川崎重工、BMW(2輪)など

日野自動車・三菱ふそうの統合での影響

  • トラック用サスペンションでは、日野・ふそうの双方と取引実績あり。
  • 今後、車台や部品の共通化が進めば、納入先の統合・選定見直しが起こる可能性大。
  • 競合するKYB(カヤバ)や住友理工などとの競争が激化する見通し。
  • 調達ボリュームは増加するが、単価交渉では価格圧力が高まる恐れも。

決算分析と倒産リスク

年度 売上高 営業利益 最終利益
2022年 3,450億円 130億円 85億円
2023年 3,600億円 145億円 92億円
2024年 3,780億円 160億円 105億円

業績は堅調で黒字を維持。倒産リスクは低く、日立Astemoの支援体制も安定している。

「やばい」と言われている理由

  • 社名消滅により「ブランド力が失われた」との声がある。
  • 再編によるポスト削減・統廃合で、社員の士気が一時低下。
  • 内燃機関中心の企業文化がEV化に乗り遅れる懸念が指摘された。

給与水準

項目 金額
大卒初任給 約22万円
平均年収 約570万円

日系メーカーの中では平均的な水準。グループ統合後は賞与のばらつきが見られる。

EV時代の将来性

  • EV車でもサスペンションは不可欠。市場ニーズは継続。
  • 軽量・高強度化、電子制御式ダンパーなど新分野への対応力が問われる。
  • アクティブサスなどの高度制御分野にリソース集中中。

職場環境・定着率・退職者の声

  • 組織再編により、勤務地・業務内容が大きく変わるケースも。
  • 若手技術者の流出が一時的に増加。人材の入れ替わりが激しい時期があった。
  • 退職者の声:「技術は優れているが、意思決定が遅い」「グループ統合でポジションがなくなった」

過去のトラブル

  • 2016年:品質検査記録の一部不備(自主点検で発覚)
  • 2020年:米国工場で労務管理に関する労働争議(円満解決)

ショーワの口コミまとめ

良い口コミ

  • ホンダ系サプライヤーとして安定性が高い。
  • 技術力が高く、特にショックアブソーバーやサスペンション部品は高評価。
  • 福利厚生が充実しており、住宅手当・家族手当も手厚い。
  • 職場の雰囲気が穏やかで、協力的な社員が多い。
  • 海外拠点への出張・駐在のチャンスが多く、グローバルに働きたい人には魅力。

悪い口コミ

  • ホンダ依存が強く、取引先の方針に左右されやすい。
  • 古い体質が残っており、年功序列的な評価制度が根強い。
  • 部署によっては残業が多く、働き方改革が進んでいないという声も。
  • 電動化対応が遅れており、将来的な事業構造に不安を感じる社員もいる。
  • 親会社(日立Astemo)との連携面で摩擦があるという声も散見される。

口コミ分析と考察

  • ショーワは「技術力と品質」に関して非常に高い評価を受けており、特にスポーツカーやバイク分野でのサスペンション開発に定評がある。
  • 一方で、ホンダへの依存度が高く、業績の安定性は親会社や主要顧客の方針に強く影響される。
  • 電動化やADAS分野への対応が遅れ気味との指摘もあり、今後の競争力確保には新領域への投資と人材強化が不可欠。
  • 労働環境については比較的良好な声が多いが、管理職層や組織文化において旧来の体制が残っており、若手の離職理由になることもある。
  • 2021年以降、日立Astemoとの合併による再編が進んでおり、今後のシナジー効果や事業再構築の成否が企業価値に直結すると見られる。

将来的な展望

ショーワは、統合によるブランド名の後退や社内の再編によって、一時的に混乱が見られましたが、製品技術の高さは業界内でも依然として強い信頼を受けています。EV車、次世代車両でもサスペンションの重要性は変わらず、電子制御系への転換を成功させることが生き残りの鍵となるでしょう。今後は、他の足回り系企業との競争だけでなく、自社技術の差別化による独自ポジションの確立が期待されます。

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