自動車業界がやばい

部品メーカー×倒産の可能性

【日産に強い照明メーカー小糸製作所】収益構造とリスクを分析

小糸製作所(KOITO)は、自動車用ランプの分野で世界トップクラスのシェアを誇る日本の大手部品メーカーです。

ヘッドランプやリアコンビネーションランプといった照明装置を中心に、近年ではADAS(先進運転支援システム)対応製品の開発にも力を入れています。

国内外の完成車メーカーとの強固な取引関係を築いており、グローバル市場での存在感を年々高めています。

本記事では、小糸製作所の会社概要や製品の特徴、納入先企業、最近の動向や将来性について詳しく解説していきます。

この記事の執筆者(本田)

自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。

この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。

昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。

 

小糸製作所の最新ニュース

  • 2025年3月、Cepton(LiDAR関連)子会社化による次世代ADAS事業へ本格参入
  • 2025年3月、小糸台湾など複数海外子会社の整理・清算を発表
  • 2025年3月期業績発表。売上9,167億円、営業利益448億円

会社概要・特徴(製品、納入先)

製品ライン

  • 自動車用LED/ハロゲンヘッドランプ、テールランプ・インテリアランプ
  • 航空機座席・制御パーツ、鉄道車両向け照明/信号器具など

納入先

  • 日産、トヨタ、ホンダをはじめ国内主要OEM
  • 海外では欧州・米州・アジア市場の自動車メーカーへ供給

日産自動車との関係性と影響

小糸製作所は、戦後まもない1946年に日産自動車吉原工場(ダットサン)向けにヘッドランプおよび標識灯を受注し、静岡工場での生産を開始しました。

これは戦後同社にとって最初の自動車用照明製品の納入実績であり、小糸の自動車用ランプ事業の起点となりました 。

技術供給と採用実績

以来、小糸製作所は革新的な照明技術を日産車に提供しています。例えば1979年からは日産「スカイライン」をはじめとする車種に異形ヘッドランプを供給し始めました 。

また、2001年にはLED標識灯が「スカイライン」で採用され、以後の先進照明技術にも寄与しています。

環境・リサイクル分野での共同取り組み

近年では、日産と小糸はリサイクル材料を活用したヘッドランプ部品の協業にも取り組んでいます。日産の施設で使用されたアクリル素材を化学的に分解・再処理し、ヘッドランプの内レンズ材として再利用。X‑Trailなどの車種に順次採用されています 。

決算分析(倒産の可能性)

2025年3月期 実績

項目 金額 前年比
売上高 9,167億円 ‑3.5%
営業利益 448億円 ‑19.9%
経常利益 491億円 ‑22.3%
当期純利益 462億円 +13.1%
自己資本比率 約70%

純利益は補償金や資産売却益により増益。自動車向け主体の売上減により営業利益は大幅減少したが、財務健全性は高い 。

2026年3月期見通し

  • 売上:8,680億円(‑5.3%)
  • 営業利益:370億円(‑17.5%)
  • 純利益:220億円(‑52.4%)

営業利益・純利益ともに減益見通しで、LiDAR投資や海外構造改革の先行コストが影響 。

「やばい」と言われている理由

  • 自動車向け照明依存が強く、業界減速に影響を受けやすい
  • 営業力低下による大幅減益、利益体質への懸念
  • 先行投資(Cepton買収等)が短期業績を圧迫

給与水準(初任給も)

  • 大卒初任給:約月23万円〜25万円(推定)
  • 業界平均並みでボーナス・福利厚生も標準水準

将来性(EV車になった時)

  • EV向け電子照明・ADAS対応LiDARなど高付加価値製品への展開を強化
  • Cepton買収で先端技術の獲得 → 競争優位継続の可能性
  • EV普及に伴い、未来車両向けのヘッド/信号灯の需要が拡大見込み

職場環境(退職者・定着率など)

  • 規模が大きく安定した制度あり
  • ただし、海外子会社整理など構造調整による不安を感じる声も

退職者の声

  • 「構造改革で部署統合や転勤が増え、動揺した」
  • 「評価基準が財務中心で、技術面での裁量が減った」

過去に起きたトラブル

  • 2010年:航空座席の試験データ改ざん問題が発覚(国交省対応)
  • 自動車用ランプ・信号機など品質不良による回収遅延事例あり(詳細非公開)

小糸製作所の口コミ

小糸製作所の社員・元社員による口コミ評価では、給与水準への不満とワークライフバランスの取りやすさが繰り返し挙がっています。評価ポイントとしては「残業管理がしっかりしておりサービス残業はほぼない」といったポジティブな面が見られる一方、「基本給が低く、残業がなければ収入は物足りない」「評価制度や昇給基準が不透明」といった課題も指摘されています 。

⛳ 働きやすさ・福利厚生

テレワーク導入やフレックス制の柔軟性により、育児や介護など家庭事情にも配慮された勤務が可能という声が多数あります 。また、社食の安さや住宅補助の改善など福利厚生面での向上も評価されています 。

💴 給与・評価制度

「年収は一般的に低い」「20〜30代でも残業なしでは年収500万に届かない」との声が目立ちます 。一方で、「毎年昇給がありボーナスも支給される」「長く勤めれば年功序列により相応の昇給も可能」といった意見も少数ながら存在しています 。

管理職・キャリア面の課題

管理職層では「朝から夜遅くまで残業が常態化しており、休憩もままならない」といった過重労働感が報告されています 。また、昇進・昇格試験に関しては「筆記や論文、面接が重厚」であり、特に中間管理職への昇格が難しいとの声もあります [oai_citation:1‡en-hyouban.com](https://en-hyouban.com/company/00001102290/?utm_source=chatgpt.com)。

⏳ ワークライフバランス

残業時間の管理が厳格であるため、プライベートとのバランスは比較的取りやすい傾向にあります。「サービス残業がなく、残業時間がしっかりと休日などで調整される」といった内容もあり、ホワイト企業的な側面が評価されています 。

キャリア開発・教育制度

新人から役職者まで各段階で社内・外部研修制度が整備されており、「教育プログラムが豊富で必要な知識を学びやすい」との肯定的な意見もあります。ただし、「研修が数日に渡り通常業務に影響する」との指摘もあります 。

口コミまとめ

総合的に見ると、小糸製作所は「安定と制度化された働き方」を重視する方に向いており、「高収入やスピード昇進を目指す方」にはやや物足りなさを感じる可能性があります。特に給与水準に関しては改善余地があり、働き方の柔軟性や研修環境は魅力的ですが、評価制度や昇給の透明化には課題意識が必要です。

将来的な展望

小糸製作所は、自動車照明で強固な基盤を持つ一方で、事業構造の変化と収益性の維持が課題です。EV・ADAS時代に向け、Cepton買収を起点とした次世代照明・センサー技術の展開が将来成長に不可欠です。同時に、海外再編の進行で組織と評価制度の整備が急がれます。競争力強化と収益体質の改善が両立できれば、再評価につながる可能性が高いでしょう。

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