太平洋工業株式会社(Pacific Industrial)は、1930年の創業以来、自動車用タイヤバルブ・バルブコアの国産化に成功し、現在は国内シェアほぼ100%、世界市場でも約50%を占めるグローバルリーダーとして成長してきました。
本社を岐阜県大垣市に置き、タイヤバルブに加えてプレス・樹脂部品、電子・制御機器、TPMS(タイヤ空気圧監視システム)など幅広い事業を展開。
日本を含む7カ国13拠点で研究・開発・生産を行うことで、自動車メーカーの多様なニーズに応えています 。
近年では、超ハイテン材による車体軽量化や環境配慮型樹脂製品、さらにはIoTを活用した温度管理機能など、新技術の開発にも注力。持続可能な自動車社会に向けた先進的な製造技術を通じ、企業の存在感をさらに高めています 。
この記事の執筆者(本田)
自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。
この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。
昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。
- 太平洋工業の最新ニュース
- 会社概要・特徴(製品、納入先)
- 日産自動車との関係性と影響
- 決算分析(倒産の可能性)
- 「やばい」と言われる理由
- 給与水準(初任給も)
- 将来性(EV車になった時)
- 職場環境(退職者・定着率)
- 退職者の声
- 過去に起きたトラブル
- 口コミ( 良い評価ポイント)
- 口コミ(改善が求められる点)
- 考察
- 将来的な展望
太平洋工業の最新ニュース
- 2025年4月:2025年3月期決算発表、増配と安定配当の維持 。
- 2025年5月:2024年度の決算説明会資料を公開、今後の構造改革と海外展開のフォーカスを示唆 。
会社概要・特徴(製品、納入先)
基本情報
- 設立:1930年、本社:岐阜県大垣市
- 従業員数:約5,138名(連結)/2,252名(単体)
- 売上高:約2,061億円(2024年度)
主力製品・納入先
- タイヤバルブ・TPMS(空気圧モニタリングセンサー):国内100%シェア、世界50%以上
- 電子制御部品、電子サーモスタット、アクチュエーターなどを含む車載部品
- 納入先:トヨタ、日産、スバル、マツダ、BMW、フォードなどグローバルに展開
日産自動車との関係性と影響
日産車向けにタイヤバルブやTPMSユニットを安定供給しており、日産車売上の波が企業業績へ反映されます。
日産の販売変動や新車投入の遅れは、生産調整を通じて太平洋工業にも直接影響を与えます。
決算分析(倒産の可能性)
2025年3月期 連結業績
項目 | 金額 | 前年比 |
---|---|---|
売上高 | 2,061億円 | ‑0.6% |
営業利益 | 136億円 | ‑5.4% |
経常利益 | 173億円 | ‑8.3% |
当期純利益 | 132億円 | ‑22.1% |
自己資本比率 | 57.2% | 直近高水準 |
売上は微減ながら営業利益・純利益は減少傾向。自己資本比率が高く、財務的には良好。倒産リスクは低い状況です 。
2026年3月期見通し
- 売上:2,020億円(‑2.0%)
- 営業利益:130億円(‑4.9%)
- 経常利益:155億円(‑10.3%)
- 純利益:110億円(‑16.8%)
販売市場の動向や関税・原材料価格などコスト上昇要因による影響が懸念されています 。
「やばい」と言われる理由
- TPMSとタイヤバルブ依存度が高く、商品構造が単一化しやすい
- 利益率が低下する減益予想により、投資家の警戒感が増している
- グローバルの原材料・為替・関税リスクに敏感
- 新規収益源の構築が遅れると市場評価の低下を招く可能性
給与水準(初任給も)
初任給(推定)
- 大卒:約月23万円
- 院卒:約月24.5万円
大手製造業として標準またはやや上水準。ボーナスあり、福利厚生も整備されていると推察されます。
将来性(EV車になった時)
- EV化での電子制御化が進めば、TPMSや電子バルブの需要は拡大が見込まれる
- IoT資産トラッカーや新ジャンルにも開発投資中
- タイヤ関連以外の電子部品事業への多角化が鍵となる
職場環境(退職者・定着率)
- 規模自体は大きく、制度・福利厚生は整備されている
- 一部工場職場では繁忙期の残業や負荷増を懸念する声もある
退職者の声
- 「工場勤務での交代制や負荷に対し不満感があった」
- 「評価制度が若手にはわかりにくく、モチベーション維持が難しい」
過去に起きたトラブル
- 納期遅延などでOEMクレーム対応が発生するケースあり
- 部品品質調査・回収などで一時的なコスト負担があった事例も確認されていますが重大事故・不祥事レベルではありません。
口コミ( 良い評価ポイント)
社員の口コミでは「人間関係が良く、困った時は助け合える環境」「事務所や工場内の温度管理が整っていて快適」という声が多く見られます 。また、有給休暇(年間20日)が取得しやすく、代休制度も運用されているため、ワークライフバランスを保ちやすいという意見が目立ちます。
口コミ(改善が求められる点)
一方で「基本給が低く、残業前提でなければ収入が物足りない」「30才で年収500万円前後とトヨタ系列企業より低い」との声が多数あります 。評価制度や昇給の基準についても部署・上司によって差が大きく、評価されにくい・不透明との指摘が目立ちます。
労働時間・ワークライフバランス
完全週休2日制が基本ですが、トラブル時や繁忙期には土曜出勤が発生することがあります 。残業や休日出勤は断りにくい雰囲気の部署もあり、製造現場では月40〜45時間ほどと多めの残業が常態化しているとの報告も [oai_citation:2‡careerconnection.jp](https://careerconnection.jp/review/1098/?utm_source=chatgpt.com)。
教育・管理体制
教育制度は支援体制が整っており、資格取得支援なども実施されています 。しかし、配属先や上司によって当たり外れがあり、「指導が不十分」「環境により育成機会に差がある」との声もあります 。
考察
太平洋工業は、温かな社風と休暇制度の柔軟性といった「働きやすさ」が魅力的ですが、給与・評価制度の透明性・安定性に課題があります。製造現場では残業が常態化しやすく、基本給の水準も低いため、中堅世代以上や高い収入を重視する方には不満となる可能性があります。
一方で、社内の人間関係を重視する方や、資格取得や研修制度を活用しながら安定した環境で長く勤めたい方には、選択肢として魅力があります。給与・評価制度の透明化が進めば、より魅力的な職場となる余地があります。
将来的な展望
太平洋工業は強力なTPMSとタイヤ関連部品で競争優位を持ち、安定した事業基盤を築いています。しかし、収益構造の多様化とEV時代を見据えた製品開発、組織改革が重要です。ESG対応、IoT製品、新興市場対応などの取り組みを加速し、収益ドライバーの増加と体質強化が実現できれば、中長期的には再評価される可能性があります。