川﨑工業株式会社は、静岡県菊川市に本社を構える自動車部品メーカーで、アルミ鋳造部品や車載用ジャッキなどの製造を手がけています。
長年にわたりトヨタ・日野といった大手自動車メーカーへの納入実績を持ち、技術力と生産体制の安定性で高い評価を得ています。一方で、EV化への対応や人材育成の課題など、次世代のモノづくり企業として乗り越えるべきハードルも浮かび上がっています。本記事では、川﨑工業の最新動向、財務状況、働きやすさ、そして将来性について詳しく解説します。
この記事の執筆者(本田)
自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。
この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。
昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。
- 川﨑工業の最新ニュース
- 会社概要・特徴(製品・納入先)
- 日産自動車との関係性と影響
- 決算分析(倒産可能性)
- 「やばい」と言われる理由
- 給与水準(初任給も)
- 将来性(EV車対応)
- 職場環境(退職者・定着率など)
- 退職者の声
- 過去に起きたトラブル
- 口コミ(良い・悪い・考察)
- 将来的な展望
川﨑工業の最新ニュース
- 2025年6月:「人とくるまのテクノロジー展2025 NAGOYA」に出展
- 2025年2月:「健康経営優良法人2025(中小企業部門)」認定、労働環境・健康経営を評価
会社概要・特徴(製品・納入先)
- 資本金:約7,000万円/従業員:単体約552名・連結1,154名
- 主力製品:アルミ鋳造部品(ダイカスト・重力鋳造)、自社ブランドのジャッキ(車載用パンダグラフジャッキ等)
- 納入先:トヨタ、日野、スズキ、アイシン精機、デンソー、豊田織機など主要OEM
- 技術:CAE解析、専用工作機械設計などを武器に低コスト・高品質を実現
- 海外拠点:米国テネシー州(約400名)、インドバンガロール(約200名)でグローバル展開
日産自動車との関係性と影響
日産との取引は無く、供給先は主にトヨタ・日野などの商用車系が中心。
したがって日産の業績変動による影響は限定的で、主要顧客の安定性に支えられています。
決算分析(倒産可能性)
2023年3月期 決算概要(連結)
項目 | 金額 | 前年比 |
---|---|---|
売上高 | 約114億円 | — |
自己資本比率 | 約70% | — |
従業員数 | 単体552名/連結1,154名 | — |
高い自己資本比率と一貫生産体制によって財務基盤は盤石であり、倒産リスクは極めて低水準です。
「やばい」と言われる理由
- 主要OEMへの依存度が高く、顧客多様化が未成熟
- EV時代の軽量・高強度部品に技術対応が急務
- 人材育成・技術継承スピードが追い付いておらず、変化対応に懸念
給与水準(初任給も)
- 大卒初任給:月額約20万円前後(業界標準)
- 育休取得率:男性約66%、女性100%/年休125日・月平均残業11.4時間・有休取得11.2日
将来性(EV車対応)
- EV・FCV用軽量化アルミ部品の製造対応が可能
- 海外拠点が供給多様化と規模拡大に寄与する潜在力
- グローバル・多品種のニーズへ自社設備と技術で柔軟に対応できる体制
職場環境(退職者・定着率など)
- 平均勤続年数:約15.9年/残業11.4時間/月・有休11.2日
- 女性管理職増加・資格手当・改善提案制度(年2回の優秀提案表彰)など制度面充実
- 地域密着でU/Iターン採用や社員寮あり
退職者の声
- 「新卒でも提案制度が使いやすく、現場改善が自分でできる」(口コミ)
- 「地元出身が多く和気あいあい。ただ昇進スピードは緩やか」
- 「教える時間が限られ、新人の育成に課題あり」
過去に起きたトラブル
- 大きな品質事故・法令違反の報告はなし
- ごく一部で指摘があった新人育成体制への改善要望あり
口コミ(良い・悪い・考察)
良い口コミ
- 「有給・福利厚生・改善提案制度が整い、働きやすい」
- 「海外拠点とのやり取りの自由度もあり、成長機会がある」
悪い口コミ
- 「地元密着型ゆえ昇給ペースは遅め」
- 「教える余裕がなく、教育体制にムラがある」
全体として、安定した製造技術と働きやすさが魅力だが、人材育成や昇進スピードが課題となっており、長期的には改善余地があると考えられます。
将来的な展望
川﨑工業は、強みである一貫生産体制・高品質・海外展開と、堅実な経営・健康経営認定など 安定性が揃っています。これからは、EV用軽量部品への設計対応や海外拠点の拡充、教育制度の強化が成長のカギとなります。
特に人材育成への投資と技術継承の仕組みを整え、評価制度を整備することで、地場の老舗からグローバルに戦える「次世代モノづくり企業」へ進化できる余地があると判断できます。