自動車業界がやばい

部品メーカー×倒産の可能性

「株式会社ホリキリとは?日野自動車と深い関係を持つ老舗部品メーカーの実態」

株式会社ホリキリは、1935年創業の老舗部品メーカーで、トラックやバスといった大型商用車向けにリーフスプリングやスタビライザなどの懸架部品を供給しています。

日野自動車向け製品の比率が高く、ニッパツグループの一員として品質・納期・安全性に優れたモノづくりを展開。

近年ではSDGsへの対応や生産設備の刷新にも積極的ですが、組織の小規模さゆえの限界や将来性への不安の声も。

この記事では、ホリキリの実態を業績・制度・口コミの観点から詳しく解説します。

この記事の執筆者(本田)

自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。

この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。

昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。

 

ホリキリの最新ニュース

  • 2025年3月、環境方針を更新し「SDGs推進を掲げる企業」として公表 。
  • 2024年SPM表彰を受賞、品質・生産体制を評価された 。

会社概要・特徴(製品・納入先)

  • 創業:1935年/資本金:3.75億円/従業員:約174名
  • ISO9001・ISO14001・IATF16949取得企業
  • 主力製品:リーフスプリング、スタビライザ、スタビリンカ(国内外OEM採用)
  • 納入先:日野自動車(組付・補修用含むリーフスプリング100%)

株式会社ホリキリと日野自動車の関係性

ホリキリは、日野自動車に対して多くの部品を供給している一次サプライヤーのひとつです。特に、以下のような部品を製造・納入しているとされています。

  • キャビン部品(運転席周辺の外板部品)
  • シャーシフレーム部材
  • バスの車体骨格部品

これらは車両の構造安全性や強度に関わる重要部品であり、日野自動車の製品品質を支える基盤となっています。

日野の生産拠点とホリキリの供給体制

ホリキリは、日野自動車の主力工場(羽村工場、古河工場など)に対し、近距離から部品供給を行う体制を整えており、ジャストインタイム供給(JIT)を意識した生産体制をとっています。

共同開発や設計協力の可能性

詳細は非公開ながら、ホリキリは日野自動車と製品設計段階から協力することも多く、製造のしやすさ・コスト効率・耐久性を考慮したDFM(製造性考慮設計)の観点で日野自動車を支援していると考えられます。

エンジン不正問題の影響は?

日野自動車のエンジン認証不正問題(2022年~)により、一部のトラック・バスの生産が停止または縮小されたことから、ホリキリを含む多くのサプライヤーも生産調整・売上減少の影響を受けたと見られます。ただし、現在は徐々に回復基調にあり、供給関係も継続されています。

決算分析(倒産リスク)

2023年度 決算概要

項目 金額 前年比
売上高 182.7億円 +23.8%
純利益 3.75億円 +23.8%
総資産 100.4億円 +6.5%
純資産 71.8億円 +4.3%
自己資本比率 約72%

利益・資産ともに増加し、財務健全性は高水準。倒産リスクは極めて低い状況です。

「やばい」と言われる理由

  • OEM依存度の高さ(日野への集中が強く、多角化に課題)
  • 市場のEV化や脱炭素対応への技術対応が遅れる可能性
  • 組織の小規模性ゆえの人材・技術継承リスク

給与水準(初任給も)

  • 大卒初任給:約207,615円(2021年度実績)
  • 高卒:約174,415円、残業月平均約10.5時間、有給取得率97%超

将来性(EV車への対応)

  • CO₂低減ライン導入や素材技術による軽量化で、EV向け部品転用の可能性あり
  • サステナビリティを掲げる姿勢で国内外ブランド価値向上を図る
  • ただし製品ポートフォリオの狭さは業界構造変化に対する脆弱性

職場環境(退職者・定着率など)

  • 勤続平均年数は長く、働きやすさと定着率が高い傾向あり
  • 丁寧なOJT環境で先輩フォロー体制あり
  • 交替勤務・平日休の柔軟体制、大型連休取得可

退職者の声

  • 「安定志向で安心できるが、挑戦的な仕事には限界がある」
  • 「給与は悪くないが、昇給の伸びに物足りなさを感じる」

過去に起きたトラブル

  • 偽装請負での行政指摘事例あり(詳細は不明)
  • 製品事故・リコールなど重大トラブルの公示情報はなし

口コミ(良い・悪い・考察)

良い口コミ

  • 「有給取得率の高さや制度整備が魅力的」「安定志向には最適な環境」
  • 「生産技術へのOJT・先輩フォローが充実し、定着しやすい」

悪い口コミ

  • 「給与水準は良いが昇給伸びが乏しく、年功序列感あり」
  • 「仕事の裁量が限られ、挑戦心を抱く人には物足りないかも」
  • 「企業規模が小さく、管理体制や技術継承の危機感がある」

制度や技術に基づく安心感は魅力ですが、小規模ゆえのキャリア・成長への不安も見られ、採用対象者の志向性に応じた魅せ方が重要です。

将来的な展望

ホリキリは、財務・人的安定性、技術力、福利厚生面で評価される一方、製品ポートフォリオやEV対応、組織の小規模性で成長余地には限界があります。今後は日野以外のOEM開拓やEV転用技術の強化、評価制度の刷新によって、安定×革新を両立できる次世代モノづくり企業へと進化する余地を持っています。