自動車業界がやばい

部品メーカー×倒産の可能性

理研鍛造の評判と将来性を徹底解説|日野やいすゞ向け鍛造部品メーカーの実態とは?

理研鍛造株式会社は、熱間鍛造による大型トラック・建機・船舶部品などを手がける老舗メーカーです。

日野自動車やいすゞといった大手自動車メーカーに加え、建機や農機、鉄道関連企業とも取引があり、多分野にわたる供給実績を有しています。

鍛造分野での高い技術力に加え、近年ではSDGs対応や省エネへの取り組みも強化しており、YouTubeなどで製造現場の情報公開も行っています。

一方で、収益悪化や企業文化への課題も指摘されており、今後の展望が注目されています。

この記事の執筆者(本田)

自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。

この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。

昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。

 

理研鍛造の最新ニュース

  • 2024年6月、工場のエアー漏れを可視化する省エネ活動が上毛新聞「SDGsカンパニー」に掲載されました 。
  • YouTubeの「プロセスX」で、クランクシャフト生産工程が紹介されました 。

会社概要・特徴(製品・納入先)

  • 創業:1938年/資本金:約4.44億円/従業員:約330名(2023)
  • 主力製品:トラック・バス用シャーシ部品、建機・農機・船舶・鉄道用鍛造部品
  • 納入先:日野自動車、いすゞ、愛知製鋼、ソーシン、ヤンマー、コマツ、日立建機など

理研鍛造と日野自動車の関係性

理研鍛造は、日野自動車に対し以下のような鍛造部品を供給しているとされています:

  • プロペラシャフト部品(フランジ・ヨーク)
  • エンジン構成部品(クランクシャフト部材・コネクティングロッド)
  • 駆動系部品(ギアブランク)

これらは主に大型トラック・バス用であり、車両の動力伝達と耐久性に関わる重要部品です。

高強度素材への対応と日野のニーズ

日野自動車では、耐久性・軽量化・燃費向上の観点から、鍛造部品にも高強度・高靭性が求められています。理研鍛造は、SCM材・クロムモリブデン鋼などの特殊鋼素材の加工にも対応しており、日野の厳しい基準に応える技術力を持っています。

日野自動車との技術開発協力

理研鍛造は日野自動車との共同開発にも取り組んでおり、部品の最適形状設計・高精度金型の開発を通じて、鍛造プロセスの効率化と性能向上を図っています。近年ではCAE(数値解析)を用いた鍛造シミュレーションにも積極的です。

エンジン不正問題と供給影響

2022年のエンジン認証不正問題による一部モデルの生産停止により、理研鍛造も出荷量に影響を受けた可能性があります。ただし、日野の主力モデルに使用されている駆動・エンジン部品の供給は継続しており、現在は安定供給体制が戻りつつあります。

決算分析(倒産可能性)

2023年度 売上・財務概要

指標 金額
売上高 103億5,100万円
資産合計 146億7,000万円
負債合計 71億円
純資産 75億6,800万円(自己資本比率約52%)
当期純利益 ‑4億9,700万円(前期比▲16%)

売上は堅調な一方、当期純利益の赤字化が見られました。ただし自己資本比率は適切水準で、倒産リスクは低いと分析できます 。

「やばい」と言われている理由

  • 2023年度に純利益が赤字転落した点。
  • 従業員330名規模の中小企業で投資圧力に対する耐性が弱い。
  • 評価制度や女性活躍推進について改善余地があるとの声。

給与水準(初任給)

  • 初任給未公開のため推定。従業員平均年齢41歳・勤続年数14.8年、月平均残業12時間、有休15日取得 。

将来性(EV車対応)

  • 高強度鍛造技術はEV向けフレーム部品にも活用可能。
  • 多産業への部品展開(農機、鉄道、建機)により事業ポートフォリオは分散済。
  • SDGsや省エネ活動の実施により企業価値向上に取り組む 。

職場環境(退職者・定着率など)

  • 平均勤続14.8年と定着率は高い 。
  • 月平均残業12時間。有休取得15日程度とワーク–ライフバランスは保たれている。

退職者の声

  • 「評価制度が階層的で、公正さに疑問が残る」 。
  • 「保守的な企業文化で、変革への意思決定が遅い」 。

過去に起きたトラブル

  • 公的報告される大きな事故や不祥事は確認されておらず、品質・環境面でのマイナス情報は少ない。

理研鍛造の口コミ・評判

ワークライフバランス

口コミでは残業が少なく、生活に余裕があるとの声が多いです。

  • 「残業は少なく月10時間未満です。休日は土日で確実に休めます…長期連休は年3回(GW、夏季、年末年始)あり、9連休ほどあります。フレックスタイム制度(コアタイム10:00〜15:00)」

給与・評価制度

工場勤務を中心に、手当込みだと群馬県内では高水準の給与との評価です。

  • 「年収620万円(月給38万円・賞与155万円)。夜勤手当は月7万円ほど」
  • 「給料はいい方。手当が多く、忙しくてもしっかり反映される」
  • 評価制度は年功序列傾向があり、実力より年数が重視されるとの声もあります

教育・キャリア開発

教育制度や成長支援への不満も見受けられます。

  • 「教育制度が乏しい。上司や先輩から教わる機会は少なく、自ら聞いて学ぶ必要がある」
  • 「資料作成やトラブル対応力は鍛えられるけれど、作っている部品がどこで使われているかを知らない人も多い」

企業文化・組織風土

コミュニケーションや職場の雰囲気についての評判です。

  • 「コミュニケーションでは、若い人を中心に気遣って声をかけてくれる人が多い印象」
  • 「女性スタッフが増え、配慮もされている。更衣室やトイレなどの設備整備も進んでいる」

働きがい・将来性

期待と現実のギャップ、将来への不安も少なくありません。

  • 「鍛造品の未来があまり見えない」
  • 「特殊な製法は強みだが、EV化やカーボンニュートラルの進展が廃れる要因になるかも」(成長性に懐疑的)

総評

理研鍛造は、働きやすさ(残業少なめ・休日確保・高待遇)が評価される一方で、教育・キャリア支援の整備や将来性に対する懸念が存在しています。手当重視の収入を得たい製造職希望者には魅力的ですが、長期的なスキル形成や成長環境を重視する人には課題があります。

 

将来的な展望

理研鍛造は、国内外主要メーカー向けの鍛造部品で確固たる製造力を持つ一方、直近では純利益の赤字化という警鐘を鳴らしています。

EV時代に向けた高強度・軽量部品への対応、多産業展開、SDGsの推進が将来評価のカギとなるでしょう。

同時に、評価制度・組織文化の改革や若手人材の活用を進めることで、「伝統的な鍛造屋」から「次世代に応える技術集団」への転換が期待されます。

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