自動車業界がやばい

部品メーカー×倒産の可能性

【2025年最新】武部鉄工所の業績・将来性を徹底分析|トラック部品製造の実力とは

武部鉄工所は、日本のトラック・バス業界を支えるフレーム専門メーカーとして100年以上の歴史を持つ老舗企業です。

特に日野自動車をはじめとした大手商用車メーカーとの強固な取引関係により、堅実な事業運営を続けてきました。

しかし、EVシフトや働き方改革といった時代の変化にどう対応するのか、多くの関係者から注目を集めています。

本記事では、武部鉄工所の最新ニュース、会社概要、業績、口コミ、そして将来性までを多角的に解説していきます。

この記事の執筆者(本田)

自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。

この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。

昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。

 

武部鉄工所の最新ニュース

  • 2023年1月、日野デュトロZ EV用フレームを厚木工場で生産開始。
  • 2024年11月、2026年卒向け採用強化、グローバル展開を意識した人材募集。

会社概要・特徴(製品・納入先)

  • 創業1919年、設立1939年。資本金1.35億円、従業員約500~1,200名(連結)。
  • 主力製品はトラック/バス向けシャーシフレーム及び板金部品。
  • 納入先は日野、いすゞ、三菱ふそう、UD、トヨタ、三菱重工など複数OEMに対応。

武部鉄工所と日野自動車の関係性

1946年(昭和21年)から、日野自動車に対しトラック・バス用のフレームおよび関連部品を継続的に供給しています 。

  • 厚木工場を拠点に、日野自動車グループの中核企業として位置づけられています 。
  • 鶴見工場閉鎖後は厚木工場に集約され、引き続きフレーム供給を行っています 。
  • 日野だけでなく、トヨタや三菱ふそう、いすゞなどへもフレームを供給する設備力・技術力を有しています 。

グループ内の位置付け

日野自動車の持分法上関連会社ではなく、独立系サプライヤーですが、日野グループにとって重要な戦略的パートナーであり、Hino Group系の関連企業としても頻繁に言及されます 。

グローバル展開と技術共有

2005年にタイに進出し、現地法人Takebe (Thailand) を設立、2007年以降は日野自動車向けを含む車両部品を現地生産。一貫したグローバル供給体制を構築しています 。

今後の展望と強み

武部鉄工所は、大型プレス設備と専門技術を活かしたシャーシフレーム生産で、日野自動車グループの車両開発・生産を支える重要な存在です。車体軽量化や電動化の流れにおいても、構造部品の高度化を進める中核サプライヤーとして期待が寄せられています。

決算分析(倒産リスク)

2024年3月期 業績

項目 金額 前年比
売上高(連結) 362~375億円
純利益 6,200万円 ▲88%、前年は約5.16億円
総資産 約164億円
純資産 約84億円

純利益が前年より大幅に縮小しましたが、資産と純資産のバランスは良く、倒産リスクは低い状況です。

収益の構造・リスク

  • 高収益商用車市場の環境変化で一時的な収益悪化の影響を受けやすい
  • EVフレーム対応による初期投資負担が純利益圧迫の一因

「やばい」と言われる理由

  • 前期純利益の88%減益が構造的な収益性の脆弱性を示唆。
  • 少人数体制(500名規模)で設備投資増加や人手不足に直面。
  • 親会社依存や技術継承・評価制度の課題が指摘される。

給与水準(初任給)

  • 設備保全職22歳:月収約178,000円~257,000円(年収約407万円換算)。
  • 残業率高めで、残業代込みで年収400~600万円台。昇給・賞与(約4.6ヶ月分)制度あり。

将来性(EV対応)

  • EVフレーム生産が既に開始。国内シェア約50%の基盤がEVに対応可能。
  • 海外展開(タイ工場)によりグローバル供給体制を整備。
  • 商用車市場は成長継続の可能性大だが、EV需要の波に乗る体制が鍵。

職場環境・退職者の声

  • ワークライフバランスは部署による差が大きく、残業前提の文化が根深い。
  • 女性に優しい制度あり(休日配慮、育休取得など)。社員寮・食堂完備。
  • 現場の意見反映が難しく、改善のスピードに不満があるという声。

退職者の声

  • 「部署異動でやりがいを感じにくくなった」。
  • 「残業で稼ぐ構造になっており、ワークライフバランスに不安があった」。

過去に起きたトラブル

  • 重大な品質事故や法令違反等の報告はなく、大きなトラブルは確認できません。

武部鉄工所の口コミ・評判

職場安定性・事業見通し

「日本に2社しかない業界のため、需要はあって安定している。業績が悪くなっても会社が潰れることは無いと思う」という声があり、事業基盤の強さが評価されています 。

給与・評価制度

  • 「月給37万円、年収600万円。賞与150万円(年2〜3回)、昇給は目標面談による」 。
  • 一方、「基本給が低く、残業しないと収入が見込めない」「若手の昇給が少なく、意欲ある社員が辞めていく」という声もあります 。

労働時間・残業事情

  • 残業代は100%支給され、賞与は業績に応じ年2回(4.8ヶ月分)が一般的 。
  • 部署差が大きく、残業が月30〜40時間に及ぶ場合もあれば、閑散期にはほぼ定時で帰れる部門もあるとのこと 。

ワークライフバランス・休日制度

「有給取得しやすく、土日休みが基本」「台風時には女性社員のみ早帰り可能」といった配慮がある一方、繁忙期には休日出勤の発生や、部署による負荷の差も指摘されています 。

職場環境・人間関係

  • 「社員同士、派遣含めコミュニケーションが良く、雰囲気は良好」という声があり 。
  • 一方で「職場が古く、冷暖房や安全設備の整備が不十分」「製造ラインが密集し安全面に不安」といった意見もあります 。

女性の働きやすさ

女性は残業が少ない配慮があり、母性的な制度(台風時早帰り等)も導入されていますが、「管理職などキャリア志向層には昇進の機会が少なく、役割偏在の面で不満がある」との声もあります 。

総評

武部鉄工所は、100年以上の歴史とそのニッチな分野での存在感を背景に、「業績安定」「安定収入」といったメリットが評価されています。一方で、基本給の低さによる残業依存、安全面や設備面の改善余地、評価・昇給制度の不透明さ、部署による労働負荷差など、社員の間には賛否両論が混在しています。

 

将来的な展望

武部鉄工所は商用車向けの圧倒的なシャーシフレーム技術と国内シェア約半分という強みを持ちつつ、EV対応などの新しい領域にも着手し始めています。

今後の成長には、EVフレーム事業の増強、海外展開の加速、収益性回復と若手育成・働き方改革が不可欠です。

これらが進めば、「安定の老舗」から「成長を牽引する次世代企業」へと進化する可能性が十分にあります。

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