自動車業界がやばい

部品メーカー×倒産の可能性

「トランテックスの実態とは? 日野傘下で揺れる架装メーカーの未来」

トラックの「荷台部分」に特化した高い技術力と製品力を持つトランテックス株式会社は、日本の物流インフラを支える重要なボディメーカーの一つです。

とくに日野自動車との強固な関係を背景に、ウイングボディや冷凍車など多様な車体を提供し、輸送現場のニーズに応えています。

本記事では、そんなトランテックスの企業概要、日野自動車との関係性、口コミや働きやすさ、将来性について詳しく解説していきます。

この記事の執筆者(本田)

自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。

この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。

昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。

 

トランテックスの最新ニュース

  • 2022年、茨城・古河工場でウイングボデーの完成車生産を開始 。
  • 地域の人材育成や子育て支援に取り組む“石川県ワークライフバランス企業”として認定 。

会社概要・特徴(製品、納入先)

  • 設立:1930年、創業:1908年、本社:石川県白山市 。
  • 従業員:約1,532名/売上:約367億円(2023年度) 。
  • 主力製品:アルミバン、ウイング、冷凍車などトラック架装用ボデー 。
  • 納入先:日野自動車のほか、トヨタ系物流企業など多岐にわたる車種に採用 。

トランテックスと日野自動車の関係性

トランテックスは日野自動車株式会社の連結子会社であり、資本関係においても密接な結びつきを持つ企業です。親会社である日野自動車が製造するトラックに搭載されるボディ部分を、トランテックスが担当しています。

主な供給製品

トランテックスは日野自動車のシャシー(車台)に対し、以下のような車体(架装)を提供しています:

  • ウイングボディ(側面が開閉する荷台)
  • バンボディ(箱型の荷台)
  • 冷凍・冷蔵車
  • 平ボディ(荷台がフラットなタイプ)

これにより、日野のトラックが多様な業種に適合できるようカスタマイズされています。

生産体制と拠点

トランテックスは、愛知県豊川市の本社工場を中心に、全国各地のボデーメーカーやディーラー向けに製品を供給しています。日野自動車の国内工場と密接に連携し、トラックの最終完成車として出荷されるよう組立・塗装・架装を行っています。

技術開発・協業体制

日野自動車とトランテックスは、共同で軽量化技術・高強度素材の開発を進めており、燃費性能や積載効率向上を目指した技術協力関係にあります。また、EVトラックなど次世代車両におけるボディ仕様の最適化にも対応しようとする動きがあります。

今後の展望

トランテックスは、日野自動車の車体製造部門を担う中核企業として、今後も物流業界のニーズ変化(小口配送、温度管理車両、電動化など)に対応した車体設計を進め、日野グループの競争力強化に貢献する存在となっています。

決算分析(倒産の可能性)

2023年度業績

項目 金額 前年比
売上高 367億円 +?%*(前年比不明)
営業利益/経常利益 非公開
従業員数 1,532名

売上規模・従業員数ともに安定しており、親会社の強力な支援体制を背景に、倒産リスクは低水準と考えられます。

「やばい」と言われている理由

  • 親会社(グループ)への依存が強く、独自成長戦略が乏しい点を懸念。
  • 新規事業・製品の多角化が進まず、成長余地に限界が指摘される。
  • 設備投資や人材育成など自律的な革新力に課題。

給与水準(初任給も)

  • 大卒初任給:約月20万円前後(業界中堅製造業水準)
  • 福利厚生:年間休日121日、育休・時短制度、社食など制度充実 。

将来性(EV車になった時)

  • EV化による荷重・構造変化がトラックボデー設計へ転換を求める。
  • ネット通販普及による物流需要増が追い風。納期短縮型ボデー“VQシリーズ”を展開 。
  • 自動車以外(冷凍・配送など)物流用途の多様化にも対応。

職場環境(退職者、定着率など)

  • 平均勤続年数12年、残業月27時間、有給取得平均12.6日 。
  • 父親育休取得率12%、女性管理職比1%と男女格差是正の取り組み中。

退職者の声

  • 「親会社依存の企業文化で、自分の裁量が限られた」
  • 「設備投資スピードより現状維持型で、やりがいに制約あり」

過去に起きたトラブル

  • 品質トラブルやクレームの公表記録は見当たらないものの、業界特有の納期プレッシャーはある。
  • 労務関連では、組合と働き方調整に課題があったケースもあります。

トランテックス株式会社の口コミ・評判

給与・評価制度

  • 「月給18万円、年収300万円。ボーナス75万円。そもそも給料が低い、そのためボーナスもすくない。評価制度は年功序列」
  • 「基本給が少なく、残業をして稼いでいる印象です」
  • 「残業代はきっちり全額支給。ボーナスも多いため収入には余力がある」

残業・ワークライフバランス

  • 「残業が多い。月40~65時間が交互に来る。仕事は残業前提で振られる」
  • 「残業が多いので、合わない人には合わない。残業がっつりで稼ぎたい人には向いています」
  • 「休日や有給は取りやすく長期休暇もある」

職場環境・社風

  • 「個人の考えや行動を尊重し、互いが打ち解けやすい環境」
  • 「体育会系の気質が強く、上司が厳しい」「組織や安全管理に課題がある」

成長・将来性

  • 「事業展望はあまり発展性がない。海外展開が活発になれば良いかも」
  • 「将来的には不安。残業が減ると稼ぎが大幅に下がる」

総評

トランテックスは残業前提の業務体系で稼ぐスタイルが定着しており、残業代やボーナスが給与の大きな柱となっています。一方で、基本給は低めで、成果が給与に直結しにくい年功序列的評価制度、またワークライフバランスには部署差が大きいといった側面があります。職場風土は比較的オープンなコミュニケーションがある一方、体育会系的な上下関係も残っており、安定志向で稼ぎたい人には向くが、働き方や成長性を重視する人には注意が必要でしょう。

 

将来的な展望

トランテックスは、伝統的なトラックボデー架装で堅牢な技術基盤を持つグループ企業です。物流需要増やカスタム設計型ボデー(VQシリーズ)展開の追い風を受ける一方、親会社依存からの脱却とEV・物流変化への対応が今後の成長の鍵となります。物流の多様化に合わせた製品強化と独自設計力、さらに自律的な経営スタンスを育むことで、中長期的な企業価値の向上が期待されます。

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