自動車業界がやばい

部品メーカー×倒産の可能性

【自動車プレス業界の現在地と未来】淘汰か成長か、その分岐点に迫る

自動車業界における「プレス会社」は、自動車の骨格や外装を形作る重要な部品を生み出す製造の要です。しかし2020年代に入り、電動化や軽量化、グローバル競争の激化といった構造変化が押し寄せ、業界は大きな転換期を迎えています。

2025年現在、自動車プレス業界では「成長する企業」と「淘汰される企業」の二極化が進みつつあります。半導体不足や原材料高騰などの一時的な課題に加え、今後はEV向け軽量素材への対応、自動化・スマートファクトリー化といった長期的な戦略が企業の生死を分ける要素となります。

本記事では、自動車プレス業界のこれまでの歩みと現状、そして将来的な展望や倒産リスクについて、データや事例を交えながらわかりやすく解説していきます。

この記事の執筆者(本田)

自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。

この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。

昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。

 

自動車プレス会社とは何か?基礎知識

自動車プレス会社は、自動車のボディパネルやフレーム構造部品を製造する「金型を使った金属加工業者」です。コールド/ホットスタンピング、トランスファー/プログレッシブダイによる大量生産が特徴で、自動車組立に不可欠な部品サプライチェーンの中心を担っています 。

これまでの業界推移と変遷

1990〜2000年代:国内堅調、海外拡大期

トヨタや日産中心に国内需要が堅調だった一方、Schuler(現 Andritz Schuler)やVersonなどが海外進出。大型プレス機の輸出も活発に行われました 。

2010〜2019年:EV準備と軽量化競争

環境規制や燃費向上に対応するため、アルミやAHSS向けホットプレスが急増。世界的には2025年までに業界規模が 12 → 20 BUSD へ成長する見通しです 。

今、業界に何が起きているのか?直近の課題

半導体不足・供給網の混乱

コロナで工場停止→再開後に半導体不足という悪循環により、自動車メーカーは新型投入や生産計画の延期。それに伴いプレス金型発注も先延ばしに 。

中小部品メーカーの倒産増加

帝国データバンク調査では、2024年度に自動車部品メーカーの倒産件数は32件(前年度24件 → +33%)、過去10年で最多となりました。多くは下請けTier2/Tier3の小規模企業です 。

未来は明るいのか?市場予測とポジティブ要因

要素 説明 将来予測
EV化・軽量化 高強度鋼・アルミのプレス需要増 2025–2035年 CAGR5%で右肩上がり
自動化・スマート工場 ロボット導入、検査・鋳造自動化 効率化+コスト低減のチャンス
グローバル展開 東南アジア・南米へ現地進出 低コスト製造拠点の拡大
規制強化 CO₂排出やリサイクル規制 軽量化技術の優位性が鍵

倒産の可能性が高い会社は?警戒すべき業態

  • Tier2〜Tier3のプレス下請け:受注低迷+資金力が弱い
  • 設備投資が滞っている中小:旧式プレスしか持たず自動化・EV対応できない企業
  • 融資依存で返済負荷の高い企業:金利上昇+円安で借入圧迫

再建やM&Aによる生き残り戦略

  • 大手グローバル資本との提携・投資誘致による資金調達
  • 専門特化型への変身:軽量化部材、EV部品に絞った展開
  • スマート工場化による人件費削減・品質向上
  • 海外拠点を活かした低コスト製造・現地顧客獲得

成功例と失敗例:未来を分けるポイント

先進事例:Schuler → Andritz Schuler

ドイツ Schuler は高級プレス機で世界のトップ企業。2025年にAndritzと統合し、持続的成長の体制を整えています 。

危機事例:マレリ(部品メーカー)

自動車部品のプレスではないものの、同業のマレリは債務超過で2025年に再建型倒産。自動車業界の構造変化に対応できなかった一例と見ることができます 。

将来展望:倒産リスクはどうなるか?

2025年以降も業績回復が進まなければ、中小Tier2層の倒産率は高止まりする可能性があります。特にEV投資が進む中で旧来型設備のままの企業は淘汰対象となるでしょう。

とはいえ、業界全体としてはEV軽量化・環境規制対応により、**押されにくい体制を築けば成長余地は大きい**のも事実です。

まとめ:業界の分岐点に直面

  • 中小下請け層は2025年以降の再構築が急務
  • EV・軽量化特化や自動化設備への投資が生き残りのカギ
  • 大手グローバル資本との連携は成長と安定の両立に有効
  • 倒産のリスクはあるが、市場環境と設備対応次第では未来は明るい

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