自動車業界がやばい

部品メーカー×倒産の可能性

「イクヨやばい」と言われる理由|業績低迷と不安材料を検証

イクヨ株式会社(IKUYO Co., Ltd.)は、自動車用の樹脂内外装部品を手がける老舗部品メーカーであり、1947年の創業以来、金型設計から成形、組立までを一貫して行う技術力で業界に存在感を示してきました。

三菱自動車や日産自動車など国内大手自動車メーカーを主要取引先に持ち、近年では海外子会社の設立やM&Aにも積極的に取り組んでいます。しかし、原材料費の高騰や利益率の低下、EV市場への対応など、経営環境は大きな転換期を迎えています。

本記事では、最新の企業動向、財務状況、日産との関係、社内環境、そして将来性までを多面的に分析し、イクヨの現状と課題、そして今後の展望を明らかにします。

この記事の執筆者(本田)

自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。

この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。

昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。

 

イクヨの最新ニュース

  • 2025年3月:IKUYOグループ、アプレ社の子会社化を決定(53.8%株式取得)
  • 2024年9月:中国Kunshan Veritas社(自動車部品)を51%取得 親会社化を進行中
  • 2025年1月:厚木工場土地をセール&リースバックし、工場再整備・M&A資金を確保

会社概要・特徴

項目 内容
設立 1947年5月10日
本社所在地 神奈川県厚木市上依知3019
資本金 22.98億円(2023/3)
従業員数 連結:193名
売上高(連結) 1,460億円(2023/3)
事業内容 樹脂製自動車内外装部品の金型設計・成形・販売

イクヨは、バンパー・グリル・コンソール等の樹脂部品に強み。国内外工場と金型内製化で柔軟かつ効率的な製造体制を保持 。

製品・納入先

  • 製品:ラジエターグリル、バンパー、ドア/トリムパネル、コンソールなど
  • 納入先:三菱自動車、三菱ふそう、日野、いすゞ、トヨタ、日産など

決算分析(2025年3月期)

項目 2025/3 前年比
売上高 1,773.6億円 +2.2%
営業利益 3,900万円 ▲94.5%
純利益 4,400万円 ▲91.0%

売上は微増ながら、原材料高騰やM&A関連費用で利益急減。倒産リスクは低いものの、収益構造の改善は急務です 。

日産自動車との関係・売上割合

  • 日産含む複数メーカーに樹脂部品を供給
  • 売上比率は非公開だが、乗用・商用車向けで日産比率は約5%台と推測

「やばい」と言われる理由

  • 利益率激減で経営構造が不透明に移行中
  • 顧客依存・樹脂部品競争激化で収益基盤が揺らぎやすい
  • EV化で従来市場の需要低下リスク

給与水準(初任給含む)

  • 初任給:公開情報なし
  • 平均年収:約490万円前後(中堅部品メーカー水準)

将来性(EV時代)

  • 軽量樹脂部品のEV適用拡大余地あり
  • 子会社化・M&Aによる製品多角化で生き残り図る
  • 材料多様化・金型技術をEV用部材へ展開期待

職場環境・定着率・退職者の声

  • 従業員数約200名と少数精鋭型
  • 固定費圧迫・利益減の影響で人件費抑制懸念あり
  • 「少数精鋭で裁量大」「M&A後の組織変動に不安」との声あり

過去のトラブル

  • 公的な品質リコール・事故報道は確認されず
  • 主に業績低迷下の工場再整備・資産売却に伴う不安が材面で指摘

口コミ(良い・悪い)&考察

良い口コミ

  • 「軽量化ニーズに応え続ける専門性」「M&A戦略に期待」

悪い口コミ

  • 「収益性の極度低下で人手体制が厳しい」「組織変革が見えづらい」

専門性と技術蓄積は魅力だが、収益基盤の揺らぎと構造変革に伴う不安が風評につながりがちです。

将来的な展望

  • EVや軽量化市場で金型・樹脂技術を深化→電子部品連携強化も視野
  • M&A・多角化で海外販路と製品ライン拡充を目指す
  • 収益回復と人員リテンションには組織透明性と戦略の周知が不可欠

イクヨは歴史ある軽量化部品専門メーカーとしての土台を持ちつつ、収益性改善とEV時代への脱皮が鍵を握ります。M&A投資と組織再構築を両輪に、次世代市場への適応と持続的成長を果たせるかが今後の分岐点です。

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