株式会社ニッキは、1932年に創業した老舗の自動車部品メーカーで、日本で初めて気化器を製造した企業として知られています。現在は、燃料供給系だけでなくモーター制御や電子制御分野へも領域を広げ、水素やアンモニアといった次世代燃料対応製品も手がけています。
堅実な財務体質と高い技術力を背景に安定成長を続けてきましたが、近年ではEV化の加速や海外市場の変動により、業績の不安定さや「やばい」という声も一部で聞かれます。
本記事では、株式会社ニッキの最新ニュース、決算、職場環境、将来性などを多角的に分析し、その真の姿に迫ります。
この記事の執筆者(本田)
自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。
この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。
昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。
- ニッキの会社概要・特徴
- 最新ニュース
- 決算分析(2025年3月期)
- 日産自動車との関係性(リスク)
- 「やばい」と言われる理由
- 給与水準・初任給
- 職場環境・退職者の声
- 過去のトラブル
- 口コミまとめ
- 将来性(EV・次世代車対応)
ニッキの会社概要・特徴
項目 | 内容 |
---|---|
社名 | 株式会社ニッキ |
設立 | 1932年2月 |
本社 | 神奈川県厚木市上依知3029 |
資本金 | 5億円 |
従業員数 | 連結502名(2025年3月) |
主力製品 | モーター・ECU制御基板/水素・アンモニア・LPGシステム/気化器等 |
納入先 | 日産、トヨタ、いすゞ、パナソニック、Astemo 他 |
1932年に気化器専業として創業。近年では流体制御・電子回路・電子制御といった三本柱のメカトロ技術を武器に、水素・アンモニア・電動系製品へ拡充し、海外も含むグローバル展開を加速中です。
最新ニュース
- 2025年5月15日:2025年3月期決算発表・通期配当110円維持、2026年も110円予定
- 2025年5月28日:第134期定時株主総会開催、内部統制体制整備の一部改定
決算分析(2025年3月期)
指標 | 2025年3月期 | 前年同期比 |
---|---|---|
売上高 | 83.6億円 | ▼10.6% |
営業利益 | 8.85億円 | ▼2.1% |
経常利益 | 6.49億円 | ▼49.2% |
純利益 | 6.30億円 | ▼71.2% |
自己資本比率 | 55.8% | ▲2.2pt |
営業CF | △4.41億円 | →赤字化 |
北米需要の低迷が主な要因で、売上・利益は減少。自己資本比率は上昇し貸借改善されるも、営業CFの赤字化は警戒材料。
倒産リスク分析
- 強み:自己資本比率55%超・現金同等物37億円
- 注意点:営業CFマイナス&今期予想でも減収減益見込み
日産自動車との関係性(リスク)
- 日産は主要納入先の一角(他にも複数の自動車・産業メーカーあり)
- EV化による部品構成変化で需要に影響が及ぶ可能性あり
- 日産のEV戦略次第では売上が左右されるリスクも存在
「やばい」と言われる理由
- 経常利益49%、純利益70%以上の大幅減益
- 営業キャッシュフローが赤字に転落
- 情報発信が少なく、地味な印象で不安視されやすい風土
給与水準・初任給
- 平均年収:400~500万円(口コミベース)
- 初任給:非公開、業界相場で月給20万円台と推定
職場環境・退職者の声
- 残業少なく(平均月10時間程度)、年休取得率50%以上
- 安定性は評価される一方、評価制度と育成環境に不満あり
退職者の声
- 「給与が低く、頑張りが反映されにくい」
- 「制度や研修が整っておらず、成長実感に乏しい」
- 「技術学習環境は優れていて、手応えがあった」
過去のトラブル
公に報じられた不祥事や労務事故、品質トラブルは特に確認できず、コンプライアンス面は良好。
口コミまとめ
良い点
- ワークライフバランスが良好
- 流体制御・電子制御など技術力に強み
- 安定したISO認証、品質保証体制
悪い点
- 給与や評価制度に改善余地あり
- 育成体制が未整備で成長機会が限定的
- EV対応が遅れ、旧来技術へのシフトが懸念
考察:安定性と学びを重視する層には適するが、成果主義・高成長志向には物足りない環境に映る可能性が高い。
将来性(EV・次世代車対応)
- 既に水素・アンモニア向けインジェクター・レギュレーター製品あり
- 電動化分野ではACサーボモーター・モーター制御ユニットの開発進行中
- EV化が進めばECUや電子制御部品へのシフトで再成長余地あり
- 反面、北米依存の売上構造と収益基盤の改善が課題
総括:現状は業績悪化や制度面の不満が見える一方、強固な財務力と技術基盤を保持しています。EV・水素対応の強化が加速すれば、「静かに強い中堅技術系メーカー」として再評価される可能性も高く、今後の方向性が注目されます。