富士精工株式会社は、愛知県豊田市に本社を置く特殊工具メーカーで、長年にわたり自動車エンジン部品の加工に必要な切削工具を供給してきました。
特に高精度・長寿命の特殊工具の分野で国内外に実績を持ち、自動車メーカーや大手サプライヤーとの取引が強みです。しかし、近年はEV化の進展によりエンジン部品の需要が減少し、業績悪化や工場再編など大きな転機を迎えています。
本記事では、富士精工の企業体質や財務状況、口コミ、将来性を多角的に分析し、「やばい」と言われる背景とその真相に迫ります。
この記事の執筆者(本田)
自動車業界で働いて20年。様々な工場に出入りしてきました。
この20年間で、大企業から零細企業まで仕事を通じて見てきましたが、中には倒産や廃業してしまった会社も残念ながら多くあります。
昨今の自動車業界の大変革により、厳しさが増している業界の情報を発信していますので、自動車業界に従事している方は、ぜひ、お役立てください。
- 富士精工の会社概要・特徴
- 最新ニュース
- 決算分析(2025年2月期)
- 日産自動車との関係性(リスク)
- 「やばい」と言われる理由
- 給与水準(初任給含む)
- 職場環境・退職者の声
- 過去に起きたトラブル
- 口コミまとめ
- 将来的な展望
富士精工の会社概要・特徴
項目 | 内容 |
---|---|
社名 | 富士精工株式会社 |
設立 | (特殊工具事業部)/上場企業として名証二部 |
本社 | 愛知県豊田市吉原町平子26 |
主力製品 | エンジン関連特殊工具 |
納入先 | 国内外自動車メーカー、部品サプライヤー |
特殊工具に特化し、工具エンジニアリングカンパニーとして自動車産業を支えています。製品用途はエンジン内部加工で、ニッチ技術領域に強みあり [oai_citation:0‡c-max.co.jp](https://www.c-max.co.jp/ir/library/?utm_source=chatgpt.com)。
最新ニュース
- 2024年9月:中国・大連工場でEVシフトの影響による希望退職68名・合理化され特別損失計上 ()
- 2025年2月期決算:4.9億円の赤字予想へ転落 ()
決算分析(2025年2月期)
指標 | 2025年2月期 | 前年比 |
---|---|---|
売上高 | 196.5億円 | ▼8.3% |
営業利益 | △3.68億円 | 赤字化 |
経常利益 | 1.08億円 | ▼88.3% |
純利益 | △37.6億円 | 大幅赤字 |
自己資本比率 | 75.3% | 横ばい高水準 |
営業CF | +11.1億円 | 黒字維持 |
売上・利益とも大幅マイナスで、特に純利益は前年174百万円→‑37.6億円へ急悪化。一方、自己資本比率75%超・営業CF黒字が財務面での強みとなっています ()。
倒産リスク分析
- 強み:高い自己資本比率と営業CF黒字 ()
- 懸念:純利益大赤字、EV化による既存市場縮小
日産自動車との関係性(リスク)
- 納入先に自動車メーカー複数社あり(推定中核OEM)
- EV移行によるエンジン工具需要激減は構造リスク
「やばい」と言われる理由
- 純利益赤字転落&EV市場で主力製品の需要減退
- 工場すら合理化・希望退職実施と事業構造転換の兆し
給与水準(初任給含む)
- 初任給:非公開(同業では大卒23〜24万円台が見込まれる)
- 平均年収:推定450~550万円(業界中堅水準)
職場環境・退職者の声
- 技術職中心に工場勤務が多く、現場作業が主体
- 定着率は高めも、若手のキャリアアップに限界との声あり
退職者の声
- 「年功序列で裁量少なく、成果が反映されにくい」
- 「体力重視の単調作業が続き、成長実感が薄い」
- 「安定感はあるがチャレンジには物足りなさも」
過去に起きたトラブル
重大な品質事故や労務トラブルの公表はなし。中国工場での希望退職は事業調整の一環とされ、直接的な問題ではありません ()。
口コミまとめ
良い点
- 安定した雇用環境と利益相対的には堅実
- 専門技術が身につきやすいニッチ分野
悪い点
- 給与・昇進体制に物足りなさあり
- EV化対応の遅れと事業構造転換への不透明感
考察:安定志向向きな環境だが、EVによる技術転換期待には応えきれていない印象があります。
将来的な展望
- EV普及後もエンジン工具は減るが、水素燃料・EV部品向けの新規工具需要が見込める
- 軽量素材・高精度加工技術を活かし、工具市場に残る余地あり
- 財務余裕を活かして新技術投資・生産構造改革を進めれば再成長シナリオが見える
富士精工は、EV化の逆風を受けて一時的に赤字に陥っていますが、高い自己資本比率と営業キャッシュフロー黒字は経営余力を示しています。今後は、新領域の工具開発や生産改革で構造転換が急務。安定性と将来適応力がカギになるでしょう。